瀬戸内海国立公園の複合景観を世界遺産に!!! |
The Natural and Cultural Landscape of the Setonaikai National Park |
瀬戸内海国立公園と地域特性 瀬戸内海国立公園(Setonaikai National Park)は,陸域は,近畿地方,中国地方,四国地方,九州地方の4つの地方にまたがり,海域は,紀淡海峡,鳴門海峡,関門海峡,豊予海峡の4つの海峡に囲まれたわが国の多島海景観を代表する島しょ部と海域等からなっている。 瀬戸内海国立公園は、1934年(昭和9年)3月16日に,雲仙国立公園,霧島国立公園と共に,わが国最初の国立公園として指定され,2024年は,瀬戸内海国立公園指定90周年を迎えた。 瀬戸内海国立公園は,わが国最大の瀬戸内海(the Seto Inland Sea),白砂青松の海岸,大小の島々が飛び石のように連なる多島,穏やかな内海に浮かぶ筏,それに,みかん,レモン,オリーブ,ブルー・ベリーなどの段々畑,里山の自然環境など人間と自然との共同作品ともいえる文化的景観(Cultural Landscape)が調和した内外に誇れるパノラマのように展開する備讃諸島,塩飽諸島,笠岡諸島,日生諸島,家島諸島,芸予諸島,安芸灘諸島,防予諸島など多島海(Archipelago)の景観の美しさが特色である。 また,植物や動物の生態系も豊かで,クロマツ,アカマツ,シイ,タブなどの植物,日本シカ,ニホンザル,稀少種のスナメリクジラ,ナメクジウオ,カブトガニなどの動物が生息している。 瀬戸内海国立公園の面積は,62,781haで,特別保護地区が985ha(1.6%),第1種特別地域が3,228ha(5.3%), 第2種特別地域が31,208ha(49.7%),第3種特別地域が7,196ha(11.5%),普通地域が20,054ha(31.9%)である。国立公園の指定以来,地域等の区域拡張や地域再検討が行われてきている。 特別保護地区とは,特別地域内で,特に厳重に景観の維持を図る必要があり,学術的価値の高い優れた自然的要素および特異な自然現象などが含まれている地区, 第1種特別地域とは,特別保護地区に準ずる景観を有し,特別地域のうちでは風致を維持する必要性が最も高い地域で,現在の景観を極力保護することが必要な地域, 第2種特別地域とは,第1種特別地域および第3種特別地域以外の地域であって,特に農林漁業活動についてはつとめて調整を図ることが必要な地域, 第3種特別地域とは,特別地域のうちでは風致を維持する必要性が比較的低い地域であって,特に通常の農林漁業活動については原則として風致の維持に影響を及ぼすおそれが少ない地域, 普通地域とは,国立公園,または,国定公園の区域のうち特別地域および海中公園地区に含まれない区域とがある。 土地所有別では,国有地が9,239ha(14.7%),公有地が17,385ha(27.7%),民有地が36,157ha(57.6%)である。 代表的な名勝,景勝地,史跡などの地点としては,兵庫県の姫路城,六甲山,神戸北野異人館群,メリケンパーク,慶野松原,洲本城跡,明石海峡大橋,和歌山県の和歌山城西之丸庭園,岩橋千塚古墳群,岡山県の牛窓,鷲羽山,後楽園,旧閑谷学校,吉備津神社,倉敷美観地区,大原美術館,瀬戸大橋,広島県の原爆ドーム,厳島神社がある宮島,尾道,瀬戸田,鞆ノ浦,山口県の錦帯橋,徳島県の鳴門の渦潮,大鳴門橋,四国霊場第1番札所の霊山寺,香川県の金刀比羅宮,栗林公園,讃岐国分寺跡,屋島,小豆島,中山千枚田,愛媛県の道後温泉,松山城,四国霊場第51番札所の石手寺,大山祗神社,来島海峡大橋,大分県の国東半島などがあり,年間利用者数は,約4,000万人で,富士箱根伊豆国立公園に次いでわが国第2位である。 重要伝統的建造物群保存地区としては,兵庫県の神戸市北野町山本通,岡山県の倉敷市倉敷川畔,広島県の竹原市竹原地区,豊町御手洗,山口県の柳井市古市金屋,香川県の丸亀市塩飽本島町笠島がある。 また,この地域には,古くからの伝説,民話,民謡など口承及び無形遺産も数多く伝承されている。 瀬戸内海国立公園の関係市町村 瀬戸内海国立公園の関係市町村は,11県にまたがる。
多島海景観と文化的景観 瀬戸内海への本格的な認知は,明治後期頃であったといわれている。1872年に世界一周旅行の途上に外輪船で日本を訪問したイギリス人のトーマス・クック(1808年〜1892年)は,瀬戸内海のことを,ギリシャのエーゲ海,イタリアのティレニア海,或は,イオニア海,それに,クロアチアとの間にあるアドリア海,或は地中海全体のイメージに重ね合わせ,その多島海景観を称えた。 また,1877年に出版した著書の中で,ユーラシア大陸の東西を結ぶ交易路を「ザイテンシュトラーセン」(絹の道)と呼び,その後,英訳されて「シルクロード」と呼ばれるようになったことでも知られるドイツの地理学者のリヒトホーフェン(1833〜1905年)も1860年に瀬戸内海に立ち寄り,「広い区域に亙る優美な景色で,これ以上のものは世界の何処にもないであろう。将来この地方は,世界で最も魅力ある場所の一つとして高い評価をかち得,沢山の人を引き寄せることであろう。此処には到る処に生命と活動があり,幸福と繁栄の象徴がある」とその風景の美しさを称賛している。 このようなことから,改めて日本人の間に深い関心を呼び起こした。長年住んでいると,その感性も失せてくるのであろうか,内部者よりも外部者からの評価の方が高く,しかもその初印象は,しばしば本質を突くことも多い様に思われる。 この環瀬戸内海地域は,歴史的にも数多くのドラマを生み出してきた。古くは,中国の長安の都から、日本の奈良や京都への海路は、「海のシルクロード」として、また、一ノ谷,屋島,壇ノ浦など源氏と平氏の源平の合戦の舞台として,それに,慶長12年(1607年)から文化8年(1811年)までの約200年の間に,徳川将軍の代替わり等を祝賀する為,計12回朝鮮から日本へ派遣された友好使節「朝鮮通信使」や,長崎出島のオランダ商館長をはじめとするオランダ人の一行が,毎年一回江戸城へ赴いて将軍に拝謁した「江戸参府」など,外国の船もこの瀬戸内海を往来していた。 一方,伊能忠敬(1745〜1818年)は,「大日本沿海與地全図」を作成する為に,1806年に山陽道と瀬戸内の島々を,1808年には,四国の海岸線の測量している。また,「日本外史」で有名な江戸後期の儒学者,頼山陽(通称 久太郎 1780〜1832年)は,詩人としても誉れ高く,「山陽詩鈔」などを著している。 古くは,万葉の歌でも詠われ,近代では,若杉慧の「エデンの海」,壺井栄の「二十四の瞳」,夏目漱石の「坊ちゃん」,志賀直哉の「暗夜行路」,林芙美子の「放浪記」,阿久 悠の「瀬戸内少年野球団」,木下忠司の「喜びも悲しみも幾歳月」,山上路夫の「瀬戸の花嫁」(歌 小柳ルミ子),平山郁夫の「晩秋の倉敷」,「光耀厳島」,「瀬戸田向上寺」など文学,映画,歌,音楽,絵画,写真などの芸術作品の舞台や題材として取り上げられ,これまで数々の名作を生んできた。 NHKが視聴者から募集した「21世紀に残したい日本の風景」でも,瀬戸内海の風景は取り上げられており,また,環境庁(現 環境省)が広く人々が地域のシンボルとして大切にし,将来に残したいと願っている音の聞こえる環境(音風景)として選んだ「日本の音風景100選」では,「灘のけんか祭りのだんじり太鼓」(兵庫県姫路市),「垂水漁港のイカナゴ漁」(兵庫県神戸市),「広島の平和の鐘」(広島県広島市),「鳴門の渦潮」(徳島県鳴門市),「阿波踊り」(徳島県徳島市ほか),「千光寺驚音楼の鐘」(広島県尾道市),「大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴」(香川県長尾町),「満濃池のゆるぬきとせせらぎ」(香川県 満濃町),「道後温泉振鷺閣の刻太鼓」(愛媛県松山市),「関門海峡の潮騒と汽笛」(福岡県北九州市/山口県下関市)が選ばれている。 波穏やかな瀬戸内海に浮かぶ大小の島々,島に架かる橋,行き交う船,筏,段々畑などの風景は,「人間と自然環境との共同作品」ともいえる貴重な文化的景観を呈している。 例えば,独特の地形を活かした牛窓の段々畑,つぼ網などの漁業及び集落が,唐琴の瀬戸など瀬戸内海の自然環境と一体となって美しい景観を形成している牛窓湾(岡山県邑久郡牛窓町),近世から近代にかけて干拓された広大な水田農地,四つ手網などの漁業の営みが一体となって個性ある景観を形成している児島湾(岡山県岡山市,児島郡など),讃岐平野に築かれた広大な灌漑用ため池が阿讃の山並みと共に迫力ある景観を形成している満濃池(香川県善通寺市など),佐田岬の防風林のある段々畑,名取の石垣集落,石垣群の防風体等が独特の景観を形成している佐田岬半島(愛媛県西等和郡三崎町)などの複合景観など農林水産業に関連する文化的景観もそうである。 経済開発と環境保全との相克 瀬戸内海国立公園を取り巻く自然景観や文化的景観も,時代の推移と共に大きく変化している。かつて文明の海ともいわれた瀬戸内海も,文明に利用される海へと変質を余儀なくされてきた。 戦後の高度経済成長時代には,経済開発と環境保全との相克のなかで,地域開発のあり方が問われてきた。生活と産業,より経済的な豊かさを求めて,産業や工場の誘致が行われ,鉄鋼の高炉や石油化学工場のコンビナートが形成され,人間が生きていく上での就業機会や就業の場を数多く生むと同時に定住化が促進された。 一方,1973年には,関門橋の開通によって本州と九州地方とが結ばれ,1988年4月には,瀬戸大橋の開通により瀬戸中央自動車道が,1998年4月5日には,明石海峡大橋の完成により神戸淡路鳴門自動車道が,そして,1999年5月1日には,来島海峡大橋の完成により西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)が開通し,本州と四国地方とが結ばれ,瀬戸内新時代へと変遷してきている。 陸域では,都市化の進展に伴い,里山のシイやカシ等の自然植生が損なわれているほか,松枯れ現象が至るところに見られる。海域では,赤潮や貝毒の注意報や警報が毎年のように発せられ,また,海砂利採取,埋立てなどによって,かけがえのない藻場,干潟,それに,自然海岸等が失われつつある。この地域は,陸域,そして海域共に生態系に明らかに変化が生じており,危機にさらされている。 文明の開花,臨海部の工業化,都市化の進展,人口の増加等は,地域への新たな負荷や負担を背負わさせることにもなった。一つは,水質汚染の問題である。また,水質は環境基準値を越えないものであっても,積年の雑廃水等で,海が富栄養化している。極端な場合には,海水の酸素欠乏状況が生じ,海の生息動物にも影響が見られる。 二つは,高速道路等の道路の整備によって,車での移動が便利になり,時間も大幅に短縮された反面,交通量の増加によって,排気ガスなど,大気汚染が慢性化し,沿道の植物枯れ等の一因にもなっているのではないかと思われる点である。 三つは,ゴミの問題。都市化の進展,人口の増加等は,大量消費社会を形成したが,大量の廃棄物の処分も余儀なくされている。ゴミの処分場は,埋立地に,或はゴミの島へと変容しているところもある。なかには,船からの海中投棄や,海の富栄養化に繋がる生放流,首都圏や関西圏からのゴミの持ち込みもある様な状態である。 瀬戸内海国立公園の保護管理と問題点 進化(退化?)していく景観は,きわめて評価が困難である。日本の場合,保存の概念がきわめて曖昧であるからだ。欧米の場合,保護と保存の考え方は,日本とは大きく異なるように思う。 本来の保存とは,現在の景観をそのまま凍結してしまう様な考え方で,新たな開発行為などを行うことは出来ない。瀬戸内海国立公園の場合は,常に景観が変化している為,全体の保存行為は事実上出来ていない状況である。 瀬戸内海国立公園の保護管理については,山陽四国地区国立公園自然保護事務所(岡山県岡山市)が担当している。また,瀬戸内海国立公園内にある指定文化財については,文化財保護法で,国有林については,森林・林業基本法等で保護されている。一方,瀬戸内海の水質の保全,自然景観の保全等の環境保全に関しては,瀬戸内海環境保全特別措置法(対象は,10県プラス京都府,大阪府,奈良県の13府県)を制定し,「瀬戸内海環境保全基本計画」が策定されている。 しかしながら,瀬戸内海国立公園の場合,前述した通り,保護管理措置としては,特別保護地区が985ha(1.6%),第1種特別地域が3,338ha(5.3%),第2種特別地域が31,208ha(49.7%),第3種特別地域が7,196ha(11.5%),普通地域が20,054ha(31.9%)で,完全に自然保護法で守られているわけではない。 指定文化財や登録文化財の保護についても,地点やサイトの保護に過ぎない。 箱庭にたとえると,全体の景観保護や保存の管理者は,不在であると言っても過言ではない。箱庭づくりが分業で行われていて,分業管理者も,自らのテリトリーのことしか考えない。全体を見ていると,箱庭づくりの手順や順序が何らかの力で,先手になったり後手になったりする。住宅地開発にたとえるならば,団地を先につくって,後から道路をつくる様なことも起る。 箱庭づくりも,部分修正はしても,いつまでも作業を続けるわけにはいかない。ほぼ完成の領域もあるはずである。この全体の工程管理と指揮監督する管理者も不在なので,無限に箱庭づくりが続いていく,こんな地域開発の図式が長年続いているのではないだろうか。 では,どうしたら良いのかということになるが,箱庭づくりも,ある領域で作業を終了し,保存措置を講ずることが重要だと思う。また,分業管理者を少なくしなければならない。そして,点,線から面的な全体管理体制と保存,維持,継承の作業が必要になってくる。 このことは,国土づくりにも通じる。日本列島どこもかしも工事中でなくても良いはずである。箱庭づくりも,すべて作業中でなくて完成したところもあって良いはずで,むしろ地域差がある方が自然なのではないかと思う。 完成すれば,予算はそんなに使わなくてもよくなるはずで,国土開発の考え方も変え,地方への予算配分も均等的な考え方はやめるべきだと思う。 前年度実績の考え方で進めるから,手をつけるべきではない中山間地域にまで,開発の触手をのばし,いびつな箱庭に変容させている様にしか思えない。瀬戸内海国立公園の場合,中山間地域は,開発や活性化を図る地域ではなく,何よりも先に保存していくべき地域が多い様に思う。 中国地方と四国地方の行政一体化に向けて それでは,瀬戸内海国立公園は,世界遺産になれないかというと,世界遺産になりうる可能性はあると思う。失われつつあるかけがえのない多島海景観のなかでも,すばらしいものがまだ数多く残っている。 これらが,それぞれに声をあげていくのではなく,瀬戸内海国立公園を俯瞰する人間と自然環境に関わる瀬戸内海物語とシナリオが必要になってくる。 世界遺産の登録要件を考えてみた場合,この地域は,真正性の証明以前に,恒久的な保護管理措置を図ることがテーマになると思う。前述した通り,点や線の管理ではなく,面的な保護管理措置が大変重要なポイントになる。 現在,日本の自治体の合併ブームが起きている。日本の場合,余りに行政単位が細分化されていて,鳥の目で見る行政管理が行われておらず,虫の目での地域づくりやまちづくりが進んでいるのが現状だ。 私達が提案している行政改革論の中で,現在,全国にある3000以上ある市町村を300くらいの基礎自治体に再編・統合,47ある都道府県を廃止し,新たに全国に6つの州を置く「廃県置州」(the establishment of states in place of prefectures 因みに廃藩置県は,1871年に明治政府によって行われた)を行い,平和憲法の下に,日本国(Japan)から日本合衆国(United States of Japan)へと国の仕組みを変える考え方である。 道州制にも近い考え方であるが,各州が独自の州法と条例を制定できる点が異なる。天皇制はイギリスの皇室を参考に存続させ,その他は,アメリカ合衆国の政治・行政システムを典例とするものである。例えば,この地域の場合,まずは,市町村の数を極力少なくし基礎自治体としての管理能力を強化し,究極的には,中国地方と四国地方を一体化させ,この州傘下の自治体にするという考え方である。 その前段階として,基礎自治体である市町村の再編と合併を大胆に進めていくことである。地方分権の推進については,中央では過大な錯覚があるようだが,現状の地方の行財政システムのなかで,財源等を地方に移管すると,いびつな箱庭づくりが更に一層ひどい形で進んでいくことが予想される。 環瀬戸内海地域は,政治,経済,社会のいずれにおいても,日本の縮図的な地域特性をもっており,この地域の官業の仕組みと支援システムの解明,そして,その癒着を断てば,日本の構造改革は一気に進むと思う。地域づくり,都市づくり,まちづくりも,いつしか土木・建築の実験場となり,瀬戸内海も生活者の海から産業の海,民の海から官の海へと変貌した。 経済・開発を優先する中での自然環境と文化財の保護ではなく,自然環境と文化財の保存を基本に,地域構造や産業構造の転換を計っていかなければならない。産業振興や観光振興を目的にした世界遺産登録運動では長続きはしない。世界遺産条約の本来の趣旨や世界遺産の理念を基本的に理解しなくてはならない。 従って,瀬戸内海国立公園の文化的景観の世界遺産化を検討していく場合,世界遺産登録申請時の文化的景観が損なわれない恒久的な保護管理措置が講じられていることが前提になる。瀬戸内海国立公園の本来あるべき姿として,部分的な名勝、景勝、伝統的な集落、瀬戸大橋(1988年(昭和63年)に全線開通)や明石海峡大橋(1998年(平成10年)に開通)などの近代化建築遺産或は産業遺産の世界遺産化をそれぞれがめざすのではなく,当シンクタンクでは,瀬戸内海国立公園の全体的な文化的景観の保存(Preservation)と保護(Safeguarding)が図れる様な展開が望ましいと考えている。 その為には,瀬戸内海国立公園内の特別保護地区<985ha(1.6%)>の範囲の拡大と,恒久的な保護管理措置が図れる面的な行政管理システムの確立,なかでも中国地方と四国地方の行政の一体化,そして,陸域と海域の総合管理が図れる様な行政管理が必要だと思う。 また,環境省も日本の環境問題の課題が凝縮したこの地域に環境首都を置くことを考えてみてもよいのではないだろうか。 瀬戸内海をアイデンティティとする瀬戸内海国立公園は,西日本においても広域的であり,近畿地方の人がイメージする瀬戸内海と,中国地方,四国地方,そして,九州地方の人が思い描くイメージとは異なるものがあるのではないだろうか。定住者が見る日常的な瀬戸内海の景観,旅人など移動者が見る非日常的な瀬戸内海の景観も異なるものだと思う。定住者についても,瀬戸内海の島々に住んでいる人,本州側,そして,四国側の人によっても視界やアングルが異なるので,イメージは様々であろう。 この地域に長年培われた地域風土,そして,人間の気質については一様ではないだろうが,多くの恵みを与えてくれた瀬戸内海を後世に継承していく為には,大きな視野に立っての発想が必要になってくる。 瀬戸内海をキーワードにした中国地方※と四国地方の行政一体化に向けた取り組みに期待したい。 ※中国地方,中国山地という日本の地方や山地の名前は,情報化時代の今日,データベースのキーワード検索でも,中国(中華人民共和国)と紛らわしく,改称が望ましい。今や,中つ国ではない様に思われる。 (改訂記録)2008年1月10日、2024年10月5日 本稿についてのご質問,ご意見等をお寄せ下さい。 シンクタンクせとうち総合研究機構 瀬戸内海国立公園の複合景観・世界遺産化推進事務局 |
キーワードは,アーキペラーゴ(Archipelago),文化的景観(Cultural Landscape) Many Groups of Islands Floating Rafts Farming Terraces Port Towns,Fishing and/or Farming Villages Lighthouses Eddying Current |
世界遺産化可能性のチェック・ポイント |
Identification of the Property |
□Country (and State Party if different)
□State, Province or Region □Name of Property □Exact location on map and indication of geographical co-ordinates to the nearest second □Maps and/or plans showing boundary of area proposed for inscription and of any buffer zone □Area of site proposed for inscription (ha.) and proposed buffer zone (ha.) if any |
Justification for Inscription |
□Statement of significance □Possible comparative analysis (including state of conservation of similar sites) □Authenticity / Integrity □Criteria under which inscription is proposed (and justification for inscription under these criteria) |
Description |
□Description of Property □History and Development □Form and date of most recent records of site □Present state of conservation □Policies and programmes related to the presentation and promotion of the property |
Management |
□Ownership □Legal status □Protective measures and means of implementing them □Agency / agencies with management authority □Level at which management is exercised (e.g., on site, regionally) and name and address of responsible person for contact purposes □Agreed plans related to property (e.g., regional, local plan, conservation plan, tourism development plan) □Sources and levels of finance □Sources of expertise and training in conservation and management techniques □Visitor facilities and statistics □Site management plan and statement of objectives (copy to be annexed) □taffing levels (professional, technical, maintenance) |
Factors Affecting the Site |
□Development Pressures (e.g., encroachment,
adaption, agriculture, mining) □Environmental Pressures (e.g., pollution, climate change) □Natural disasters and preparedness (earthquakes, floods, fires, etc.) □Visitor / tourism pressures □Number of inhabitants within site, buffer zone □Other |
Monitoring |
□Key indicators for measuring state of conservation
□Administrative arrangements for monitoring property □Results of previous reporting exercises |
Documentation |
□Photographs, slides and, where available,
film / video □Copies of site management plans and extracts of other plans relevant to the site □Bibliography □Address where inventory, records and archives are held |
推進方式 |
この地域は,複数県にまたがることもあり,地方から国へのボトム・アップ方式ではなく 国の審議会からの諮問など国から地方へのトップ・ダウン方式の方が望ましい。 |
課 題 |
登録範囲(Area of Site proposed for Inscription and proposed Buffer Zone) |
1)日本の他の多島海景観との違い (Possible Comparative Analysis (including State of Conservation of similar sites) 例示 @西海国立公園 (佐世保の九十九島,平戸島,五島列島の島々など大小400の島々を包含する国立公園) A日本三景松島 2)海外の他の多島海景観との違い The Solovetsky Archipelago The Chiloe ArchipelagoThe Cyclades Archipelago The Azores ArchipelagoThe St Kilda ArchipelagoThe Fernando de Noronha Archipelago |
危機因子 |
無秩序な開発(Disordered Development) |
自然海岸の減少(Decrease of Natural Coasts) |
環境汚染(Environmental Pollution) 空気 (Cars and Factories) 水 (Flowing Rivers into the Seto Inland Sea) |
廃棄物(Wastes) |
都市化(Urbanization) |
広告看板(Advertisement Boards or Signs) |
騒音(Noise) |
海難(Marine Accidents) |
プレジャー・ボートの不法係留(Illegal Mooring of Pleasure Boats) |
自然災害(Natural Disasters such as Typhoon, Earthquakes, Forest Fire in the mountains and forests) |
海面上昇(Sea-Level Rise) |