2007年1月23日
世界遺産総合研究所 所長 古田陽久
文化庁は、本日、世界文化遺産の登録を目指す国内候補として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に2月1日までに提出する暫定リストに、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」、山梨県と静岡県の両県にまたがる「富士山」、奈良県の「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」、長崎県の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の4物件を新たに追加すると発表しました。
全国の地方自治体(各都道府県・市町村)から昨年9月29日から11月30日までに公募し、応募した26県の24物件から、「世界遺産暫定リスト追加のための審査基準」(2006年9月26日策定)に基づき、文化審議会文化財分科会が4物件を選定しました。これらは、「顕著な普遍的価値が高く、保存管理体制も出来つつある」と判断されたもので、ほぼ順当な選考結果であった様に思います。
今回の選定からもれた「四国八十八箇所霊場と遍路道」、「出羽三山と最上川が織りなす文化的景観」、「金と銀の島、佐渡−鉱山とその文化−」、「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」、「妻籠宿」、「黒潮にはぐくまれた亜熱帯海域の小島『竹富島・波照間島』の文化的景観」など20物件は、「継続審査案件」となり、今後の検討課題の進捗や提案内容の修正など「世界遺産暫定リスト追加のための審査基準」を満たすなど熟度を高めて、然るべき時期に、「継続審査案件に係る提出書類」を文化庁に提出する運びになると思います。
また、この他にも、新たに「提案書」を、今年提出することを検討中の地方自治体が相当数あり、日本の地方における特色ある多様な文化遺産を、グローバルな視点から、再発見、再認識する機会にもなっており、真の「美しい日本」の国づくり、地域づくり、まちづくりにもつながれば、この上ないことです。
一方、世界自然遺産については、環境省と林野庁を中心に、「小笠原諸島」、「奄美・琉球諸島」、それに、追加候補を含めた「暫定リスト」への登載を進展させる必要がある様に思います。
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