第41回世界遺産委員会クラクフ会議 2017 The 41st Session Of the World Heritage Committee 2017 Krakow 『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群(日本) 世界遺産登録おめでとう 世界遺産は、21増で、1073件(167か国) (自然遺産 206 複合遺産 35 文化遺産 832) 世界遺産初出国は、アンゴラ、エリトリア 「登録範囲の拡大」で、これまでで最多の複数国(12か国)にまたがる 「カルパチア山脈とヨーロッパの他の地域の原生ブナ林群」が誕生 危機遺産は、2増3減で、54物件 危機遺産比率(54/1073=5.03% 昨年5.23%) 2018年の42回世界遺産委員会の開催地は、マナーマ(バーレーン) |
毎年開催されるユネスコの世界遺産委員会は、私たち、世界遺産の研究者にとって、新年を迎える様な新たな気持ちにさせられる。 第41回世界遺産委員会は、ポーランド南部のマウォポルスカ県の県都で世界遺産都市でもあるクラクフ(Krakow 人口約70万人 日本との時差 8時間<サマータイム時は7時間> )の国際会議センター(International Congress Centre 略称ICE Krakow)で、7月2日から12日(7月2日午後7時30分からの開会式は、クラクフのバベル城(Wawel Royal Castle in Krakow)で開催され7月12日に閉会した。 開会式では、世界の126か国から約1000人が出席、ユネスコ事務局長のイリナ・ボコヴァ氏をはじめ、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、ピオトル・グリンスキ副首相兼文化・国家遺産大臣、クラクフのヤツュック市長、ユネスコ執行委員会のミカエル・ヴォルムス議長、今回の世界遺産委員会ののヤツェク・プルフラ議長が挨拶した。 ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、ポーランドで最初の世界遺産委員会を開催できたことを歓迎し、クラクフとその歴史地区を保護するユネスコの役割について話し、「1978年の世界遺産リストへの都市クラクフの登録は、文化的な建造物群を保護する為の真の転換点を示した 」と述べ、大統領は、第二次世界大戦で広範に破壊されたにもかかわらず、1980年に世界遺産リストに登録された「ワルシャワの歴史地区 」について言及し、「われわれの文明のまさに基礎となる出発点」と世界遺産委員会に感謝の意を表明した。 ピオトル・グリンスキ副首相兼文化・国家遺産大臣は、シリアのアレッポ市のことに触れ「今日、私たちの過去の様に世界のどこで何が起こっても おかしくない」、「私たちは、他国と分かち合ってもよい教訓を学んでいる」と説いた。 クラクフのヤツュック市長は、クラクフは世界遺産登録40周年を祝福し、「数多くの文化・芸術イベントを準備している」。「40年前 、私たちは文化財を救済し、今日、最善の可能な利用をしている」 ユネスコ事務局長のイリナ・ボコヴァ氏は、「ポーランドは、ワルシャワなどの都市が破壊されたが完全に再建され、希望を与え自信を取り戻した文化力はよく知られている。ポーランドは、文化が再生するところはどこでも人々も再生する。」世界遺産条約の役割の進化について「世界遺産条約の発展と同様に、私たちの責任は、その規則、原文、それに、精神を尊重する」と話した。 ユネスコ執行委員会のミカエル・ヴォルムス議長は、「世界遺産条約は、文化の多様性の祝福と地球の驚異と美しさ を締約国に提供するユニークな手段である」と言い、「対話、尊厳、自覚にとっての不可欠なツール」としての世界遺産と 評した。 今回の世界遺産委員会のヤツェク・プルフラ議長は、「世界遺産条約の成功は、世界遺産リストに登録された物件が1000以上になったことと共に、世界の国が普遍的にこの条約を批准したことであるが、世界遺産条約の確かな履行と同様にその信頼性が損なわれない様な新たな取組みが求められている。」 (尚、会議に先立ち、6月25日から7月4日まで、ワルシャワとクラクフで、「記憶: 失われ再生された遺産」をテーマとする32か国からのヤング・ヘリテッジ・プロフェショナル・フォーラムが開催され、遺産保全への取組みについての意見交換がなされた) バベル城は、クラクフの旧市街の南端部、ビスワ川のほとりにある城で、11世紀から16世紀までポーランド王の居城であった。バベル城の城内には旧王宮やバベル大聖堂もあり、これらと共に1978年に「クラクフ歴史地区」(「クラクフの中世の旧市街」、「 バベル丘陵の遺産群」、14世紀から第二次世界大戦前まで、ユダヤ人のコミュニティーが大いに栄えた「 カジミエシュの町(含むストラドム)」の3 つの構成資産からなる世界遺産のコアゾーン 149.65ha バッファーゾーン 907.35ha)として世界遺産に登録されている。 クラクフには、2012年12月に世界遺産の「ヴィエリチカ塩坑」(1978年)と「アウシュヴィッツ・ビルケナウのナチス・ドイツ強制・絶滅収容所(1940-1945)」(1979年)を訪問した際に来たことがあるので、約4年半ぶりの二度目の再訪となる。 The Historic Centre of Kraków, the former capital of Poland, is situated at the foot of the Royal Wawel Castle. The 13th-century merchants' town has Europe's largest market square and numerous historical houses, palaces and churches with their magnificent interiors. Further evidence of the town's fascinating history is provided by the remnants of the 14th-century fortifications and the medieval site of Kazimierz with its ancient synagogues in the southern part of town, Jagellonian University and the Gothic cathedral where the kings of Poland were buried. ポーランドでの世界遺産委員会の開催は、今回が初めてである。私は、今年もオブザーバー・ステイタスで参加した。第27回世界遺産委員会から15回目であり、パリ、蘇州、ダーバン、ヴィリニュス、クライストチャーチ、ケベック・シティ、セビリア、ブラジリア、パリ、サンクトぺテルブルク、プノンペン、ドーハ、ボン、イスタンブール、クラクフと世界を一周してきた感がある。 ポーランドと言えば、地動説を唱えた天文学者コペルニクスや、物理学者のキュリー夫人、フレデリック・ショパン、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世など、文化的にも優れた人物を輩出しており、また、民謡では「森へ行きましょう」などが有名である。 ポーランドは、1976年に世界遺産条約を締約(世界で22番目)、世界遺産の数は14件(「クラクフの歴史地区」、「ヴィエリチカとボフニャの王立塩坑群」、「アウシュヴィッツ・ビルケナウのナチス・ドイツ強制・絶滅収容所(1940-1945)」、「ワルシャワの歴史地区」などの文化遺産が13件、「ビャウォヴィエジャ森林の自然遺産が1件)である。 1978年の第2回世界遺産委員会ワシントン会議で世界遺産登録された「クラクフの歴史地区」と「ヴィエリチカの王立塩坑」の2件は、ポーランド初の世界遺産である共に世界遺産リストに最初に登録された12件のうちの2件で、2018年は世界遺産登録40周年を迎える。 世界無形文化遺産については、2011年に無形文化遺産保護条約を締約(世界で135番目)している。ポーランドには、伝統的な民族音楽舞踊、フェスティバル、工芸技術等が数多くあるのに、登録遺産は、まだない。 世界の記憶は、「ニコラウス・コぺルニクスの傑作"天球の回転についての6巻" 」、「フレデリック・ショパンの名曲」、「ワルシャワ再建局の記録文書」など14件が登録されている。 今年2017年の世界遺産委員会の委員国は、193の締約国から選ばれた、アンゴラ、アゼルバイジャン、ブルキナ・ファソ、クロアチア、キューバ、フィンランド、インドネシア、ジャマイカ、カザフスタン、クウェート、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、韓国、チュニジア、トルコ、タンザニア、ヴェトナム、ジンバブエの21か国である。(これらのうち、クロアチア、フィンランド、ジャマイカ、カザフスタン、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、韓国、トルコ、ヴェトナムの12か国については今期で任期を終える為、今秋11月14~15日にパリのユネスコ本部で開催される第21回世界遺産条約締約国総会で改選となる) 幹事国のビューロー・メンバーは、7か国、議長国がポーランド(議長:ヤツェク・プルフラ氏(Pro. Jacek Purchla)クラクフ国際文化センター所長、ポーランド・ユネスコ国内委員会会長)、副議長国は、アンゴラ、クウェート、ペルー、ポルトガル、 韓国の5か国、ラポルチュール(報告担当国)は、タンザニア(報告担当者:ムハマド・ジュマ氏(Mr Muhammad Juma) )が務めた。 今年の世界遺産委員会も限られた時間の会期の日程のなか、基本的には、議案の番号順に議事進行される。会議は、朝9時30分から18時30分まで、ビューロー・ミーティングは、午前9時から9時30分まで、13時から15時まで昼食、午後は、15時から18時30分まで行われた。英語或はフランス語での1日の審議時間は、実質7時間である。 まず、「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されている55件の保全管理状況の報告が延々と続き議論が行われた。改善措置が講じられたものは、危機遺産リストから解除される。一向に改善措置が講じられず、世界遺産登録時の「完全性」が損なわれた場合には、「世界遺産リスト」から抹消される場合がある。 次に、既に「世界遺産リスト」に登録されている物件のうち今年は日本の「知床」(2005年に世界自然遺産登録)など99件の保全管理状況の報告が延々と続き議論が行われた。 なかでも注目されたのは、今回の世界遺産委員会のホスト国、ポーランドの「ビャウォヴィエジャ森林」(Bialowieza Forest 1979年世界遺産登録)の保全管理状況であった。この森林は、かつてはポーランド王室の狩猟場であった。ベラルーシとの2か国にまたがるヨーロッパでも最大級の森林であるが、近年、害虫がはびこり駆除と拡散防止の為、大規模な森林伐採が行われてきた。WWF(世界自然保護基金)ポーランドなど自然保護団体が「自国の森林保護に失敗している」として世界遺産委員会の会場周辺でデモ行動を行い騒然としていた。世界遺産委員会では、将来的には「危機遺産リスト」入りもありうるとした。 日本の「知床」については、トドの健全な個体群を維持する為の採捕上限頭数及び個体数の動向、ルシャ川の3つのダムの影響の緩和・改良に向けた取組みなどについての報告が行われた。 危機遺産の候補としては、オーストリアの「ウィーンの歴史地区」、ブラジルの「セラード保護地域:ヴェアディロス平原国立公園とエマス国立公園」、メキシコの「カリフォルニア湾の諸島と保護地域」、ネパールの「カトマンズ渓谷」、パキスタンの「ラホールの城塞とシャリマール庭園」などが挙げられていた。 以上、154件の世界遺産の保護管理状況の報告と危機遺産リストの見直し(追加・削除)が行われた。 結果的に、高層ビル建設プロジェクトによる都市景観問題でオーストリアの「ウィーンの歴史地区」、それにパレスチナの緊急登録の「ヘブロン/アル・ハリールの旧市街」(後述)が新たに危機遺産リストに加えられ、エチオピアの「シミエン国立公園」、コートジボアール「コモエ国立公園」、それにジョージアの「ゲラチ修道院」は、危機遺産リストから削除された。 従って、「危機にさらされている世界遺産」の数は、54件(自然遺産16件、文化遺産38件)、危機遺産比率は5.03%(昨年は5.23%)になった。 世界遺産リストへの登録については、33件についての審議が行われた。 最初に、本来は、2018年の世界遺産委員会でのパレスチナからの候補になっていた「ヘブロン/アル・ハリールの旧市街」(Hebron/Al-Khalil Old Town)がユダヤ人とパレスチナ人の間での深刻な民族対立が続いており危機的な状況にあることから、きわめて例外的であるが、緊急登録された。 新登録については、アフリカ地域のアンゴラとエリトリアからの初登録が実現した。 また、世界遺産の数で、中国がイタリアに並びナンバーワンになることが期待されていたがイタリアも中国と同様に2件増えた為、『中国が世界遺産の数でナンバーワンになる日』は、来年以降に持ち越された。 注目の日本からの候補である「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の審議は2017年7月9日(日曜日)の午前10時2分(日本との時差はサマータイムなので7時間なので、日本時間では同じく7月9日(日曜日)午後の17時2分)に始まった。最初に専門機関のイコモスが「登録勧告」した該当する登録基準など評価の根拠や構成資産についての見解についてのプレゼンが約9分、実質審議は午前10時11分(日本時間では同じく7月9日(日曜日)午後の17時11分)に始まり午前10時47分(日本時間では同じく7月9日(日曜日)午後の17時47分)にポーランドのヤツェク・プルフ議長は結審した。審議時間は約45分(実質審議は約36分)であった。 最初にお馴染みの韓国のイ・ビョンホン(Lee Byong-hyun)ユネスコ韓国政府代表部全権大使が今回の九州北部の豪雨災害による福岡県の方々へのお見舞いの言葉を皮切りに発言、レバノン、フィリピン、インドネシア、ジャマイカ、ジンバブエ、ベトナム、タンザニア、アンゴラ、チュニジア、ポーランド、フィンランド、アゼルバイジャン、キューバ、カザフスタン、ポルトガルへと続き最後はカザフスタンまで、ヤツェク・プルフ議長は等しく委員国から意見を求めた。 各委員国を代表して発言したほとんどの人が行ったこともない地の世界遺産にふさわしいかどうかの価値判断を行う場合、登録推薦書類や補足書類、補足説明、イコモスの評価レポートに書かれた文章や文脈、それに写真や映像などから理解せざるを得ない。 ヤツェク・プルフ議長は、構成資産を日本からの申請通りの8資産(宗像大社沖津宮がある沖ノ島と、いずれも島に付随する小屋島、御門柱、天狗岩、本土から約11km沖の大島にある中津宮と沖津宮遥拝所、本土にある宗像大社辺津宮(以上福岡県宗像市)、信仰を支えた宗像族の墓とされる新原・奴山古墳群(福岡県福津市))にするのか、専門機関のイコモスの見解通り4資産(宗像大社沖津宮がある沖ノ島と、いずれも島に付随する小屋島、御門柱、天狗岩(以上福岡県宗像市)にするのか、オールタナティブな選択を求め、結果的に日本からの申請通りの8資産にすることに収斂され、イコモスの見解、それに唯一「専門機関のイコモスの評価・勧告に従うべき」と発言した韓国(神事「みあれ祭」等での豊漁や海上安全を願う漁船団の「大漁旗」を巡っての報道で国際社会での誤解や「旭日旗」と誤認されない為の報道のあり方などについての意見もあり)の見解を退けて一括登録することで結審した。 尚、フィリピンの委員からは、問題点として、沖ノ島へは現在も女性が立ち入れない「女人禁制」を指摘したが、ユネスコ世界遺産センターのメヒチルト・ロスラー所長は、ギリシャのアトス山の事例*も挙げ、そのことよりもむしろ、沖ノ島の「顕著な普遍的価値」を評価すべき主張し異論を退けた。 *(日本の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(2004年登録)の構成資産である修験道の寺院「大峰山寺」(奈良県吉野郡天川村)も1300年来の伝統である女人禁制の習慣を守っている。) 古代から絶えることなく受け継がれてきた航海安全を祈願する信仰を現代まで伝える文化遺産であり、登録基準は、(ii)と(iii)、普遍的出来事、伝統、思想、信仰、芸術、文学的作品と関連する(vi)は適用されなかった。 Sacred Island of Okinoshima and Associated Sites in the Munakata Region Located 60 km off the western coast of Kyushu island, the island of Okinoshima is an exceptional example of the tradition of worship of a sacred island. The archaeological sites that have been preserved on the Island are virtually intact, and provide a chronological record of how the rituals performed there changed from the 4th to the 9th centuries CE. In these rituals, votive objects were deposited as offerings at different sites on the Island. Many of them are of exquisite workmanship and had been brought from overseas, providing evidence of intense exchanges between the Japanese archipelago, the Korean Peninsula and the Asian continent. Integrated within the Grand Shrine of Munakata, the island of Okinoshima is considered sacred to this day. 「沖ノ島を世界遺産に」という声は2002年頃に行われた市民の活動から高まり始め、世界遺産登録を目指す動きへとつながった。そして沖ノ島(宗像大社沖津宮)、沖津宮遙拝所、宗像大社中津宮、宗像大社辺津宮、新原・奴山古墳群から構成される「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として、2009年1月にユネスコの世界遺産暫定リストに登録された。 そして、宗像市、福津市、福岡県、市民団体、経済団体、文化・教育団体等で構成される世界遺産推進会議を設立し、地域遺産を世界遺産として未来世代に継承していくことを目的に世界遺産登録活動に取り組んできた。 2002年頃に発案されてから2017年に世界遺産リストに登録されるまで、実に約15年の歳月を要し、地元の方々を中心にした地道な活動が実を結んだ。(私も、2004年(平成16年)4月に福岡県宗像市教育委員会(宗像市世界遺産登録実行委員会)からの要請による講演「沖ノ島及びその周辺における世界遺産登録への取り組みについて-沖ノ島・世界遺産プロジェクト推進に向けての指針-」を行った。) 従って、日本にある世界遺産の数は、文化遺産が1件増えて、21件(自然遺産4件、文化遺産17件)となった。(ブラジルと並んで世界遺産の数は昨年と同じ世界12位である。) 日曜日でもあったせいか、閑散としたなかで、21か国の委員国の審議は続き、結果的に、新登録は、中国の「青海可可西里」(Qinghai Hoh Xil)、「英国の湖水地方」(The English Lake District)など21件(自然遺産3件、文化遺産18件)、世界遺産の数は世界の167の国と地域にまたがる1073件(自然遺産206件、文化遺産832件、複合遺産35件)となった。 複数国にまたがるトランスバウンダリー・ノミネーションは、「シュトルーヴェの測地弧」が10か国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ロシア連邦、ベラルーシ、ウクライナ、モルドヴァ)が最多であったが、スロヴァキア、ウクライナ、ドイツの3か国にまたがる「カルパチア山脈の原生ブナ林群とドイツの古代ブナ林群」が登録範囲を拡大、アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、イタリア、ルーマニア、スロヴェニア、スペインの9か国が加わり、最多の12か国にまたがる「カルパチア山脈とヨーロッパの他の地域の原生ブナ林群」と登録遺産名を変更した。 今回の世界遺産委員会でも、専門機関の評価・勧告が登録延期や情報照会だったものが登録決議となったものが相次いで8件もの逆転現象が起こっている。 尚、日本からは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島県、沖縄県)と「長崎と天草地方の潜伏キリスタン関連遺産」(長崎県、熊本県)の2件(2020年の第44回世界遺産委員会から審査件数の上限数は現行の45件から35件に減り、1国の登録推薦数も年1件に制限される)が候補になる2018年の42回世界遺産委員会の開催国は、現在の委員国のうち12か国が11月14~15 日の世界遺産条約締約国総会で改選になる為、最終日の11月15日に決まる見通しである。 今回は、合間をみて、ポーランドの世界遺産である、キリスト受難の丘であるゴルゴダのような文化的景観を誇る「カルヴァリア ゼブジドフスカ:マニエリズム建築と公園景観それに巡礼公園」(1999年登録)、ドイツの建築家・都市計画家であるマックス・ベルク(1870~1947年)によって建てられたナポレオン戦争における最大規模の戦闘であるライプツィヒの戦い(諸国民戦争)の百周年を記念する「ヴロツワフの百年祭記念館」(2006年登録)、それに第二次世界大戦中にナチス・ドイツの侵攻で灰燼に帰した町並みを忠実に蘇えらしたワルシャワ市民の不屈の精神が評価されて世界遺産になった「ワルシャワの歴史地区」(1980年登録)を見学した。 第41回世界遺産委員会クラクフ会議で、新たに「世界遺産リスト」に登録された物件の概要等については、シンクタンクせとうち総合研究機構発行の世界遺産シリーズ、「世界遺産データ・ブック 2018年版」、「世界遺産事典 1073全物件プロフィール 2018改訂版」、「世界遺産ガイド-日本編 2018改訂版」、それに、テーマ別の「世界遺産ガイド」等の中で、今後、逐次ご紹介する。 また、第41回世界遺産委員会クラクフ会議での審議を通じて感じたこと、それに、今後の日本の世界遺産登録の見通し、今後の世界遺産の課題や展望については、 「世界遺産講座」や講演、シンポジウム、それに、各種メディアでの論述、論稿などでコメントする。 古田陽久 |
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<注> 専門機関の勧告区分 I=記載(登録)勧告 R=情報照会勧告 D=記載(登録)延期勧告 N=不記載(不登録)勧告 OK=承認勧告(登録範囲の拡大など) NA=不承認勧告(登録範囲の拡大) 世界遺産委員会の決議区分 I=記載(登録)決議 R=情報照会決議 D=記載(登録)延期決議 N=不記載(不登録)決議 OK=承認決議(登録範囲の拡大など) NA=不承認決議(登録範囲の拡大) |
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