各 位
2017年は、当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所にとって、これまで、パラレルに研究を進めてきたユネスコの「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界の記憶」を、「ユネスコ遺産」に総合化、統合化する試みに、一定の成果をあげられた年だと自己評価しています。この一年間の特記事項を下記します。
総じて、公私にわたり充実した一年でした。
<新聞・雑誌記事>
●読売新聞朝刊長崎版 200年の絆 朝鮮通信使 ➄平和外交 世界へアピール(2017年1月8日)
●東京新聞朝刊 こちら特報部 山本地方創生相「がんは学芸員」発言 文化より観光?異論噴出(2017年4月18日)
●朝日新聞朝刊 教えて! 世界遺産 ①外交努力で逆転登録も(2017年6月28日)
●朝日新聞朝刊 教えて! 世界遺産 ②登録には、どんな効果や課題があるの?(2017年6月29日)
●読売新聞朝刊九州・山口総合版 世界遺産神宿る島 伝え、守る④ 登録数抑制、ハードル高く(2017年9月19日)
<テレビ・ラジオ出演>
●TBSテレビ Nスタ トクする!3コマニュース 「上野三碑」 登録勧告(2017年10月31日)
●テレビ朝日 くりぃむVS林修!超クイズサバイバー3時間スペシャル 世遺産事典(2017年6月28日)
●NHK福岡 ロクいち! ニュース 「神宿る島」沖の島(2017年5月8日)
●TBSテレビ Nスタ トクする!3コマニュース 暗雲? 福岡沖ノ島を世界遺産へ 地元困惑 その理由は?(2017年5月8日)
●テレビ朝日「グッド!モーニング 明快!まとめるパネル 「神宿る島」沖の島(2017年5月8日)
●NHK福岡 ロクいち! ニュース 世界遺産への道のり「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(「神宿る島」沖の島(2017年4月4日)
●TBSラジオ 「荒川強啓デイ・キャッチ!」 「上野三碑」、「朝鮮通信使に関する記録」 登録勧告(2017年10月31日)
<出版活動>
紙媒体での出版は、企画、取材、編集、整理、組版、印刷、製本、流通、販売と読者に届くまでに、多くの手間と多くの方々のご協力がなければ成り立ちません。デジタル化の進行で、出版流通にも大きな変化が起こりつつあります。
本が売れない時代になりました。パソコン、インターネット、携帯電話などの普及で、ニュースなど様々な情報を新聞や書籍を読まなくても調べることが出来る様になっているからです。
本が売れない時代に一般受けしない本を小出版するのは大変勇気がいります。しかし、大学の教科書等で、毎年、採用してくださる先生方もおられます。これまで3度、<出典>として、大学や高校の入学試験問題に出題された作品もあり、一次情報としての正確さを期しています。
2017年の出版実績は、6タイトル、通算213タイトル。
生涯目標の200タイトルは、昨年達成しましたが、より良い作品を創造していく為には、玉石混淆ではあっても、より多くのものを自分自身の眼で見て、その違いをよく理解することが大切だと思います。
なかでも、大変嬉しかったのは、「世界遺産データ・ブック」では、松浦先生から、「世界無形文化遺産データ・ブック」では、愛川先生から、本の表紙にお言葉をいただいたことです。ユネスコ遺産を民間、個人の視点で長年研究してきたなかで、パリのユネスコ本部でこれらの事業の当事者であった方々からの讃辞は格別で大変励まされるものでした。
●世界無形文化遺産データ・ブック-2017年版-
ISBN978-4-86200-208-2 (2017年3月)
●誇れる郷土データブック-2020東京オリンピックに向けて-2017改訂版
ISBN978-4-86200-209-9 (2017年3月)
●誇れる郷土ガイド-日本の歴史的な町並み編-
ISBN978-4-86200-210-5 (2017年8月)
●世界遺産ガイド-日本編-2018改訂版
ISBN978-4-86200-211-2 (2017年8月)
●世界遺産データブック-2018年版-
ISBN978-4-86200-212-9 (2017年9月)
●世界遺産事典-1073全物件プロフィール-2018改訂版
ISBN978-4-86200-213-6 (2017年9月)
<連載①「世界記憶遺産の旅」>
ユネスコの世界記憶遺産に登録されている世界記録遺産を紹介する連載「世界記憶遺産の旅」は、2013年2月から2014年5月まで32回執筆する機会を得ました。これが好評だったこともあって、新連載「世界記憶遺産の旅Ⅱ」の執筆の機会に恵まれました。今回は、昨年来、妻の古田真美が担当していますが、昨年の33回に続いて、今年は、。
第34回 国連パレスチナ難民救済事業機関の写真と映画のアーカイヴス UNRWA 2009年 2016年12月15日
第35回 ユトレヒト詩篇 オランダ 2015年 2016年12月22日
第36回 イバルの書 モロッコ 2011年 2017年1月5日
第37回 権利の保護に関する裁判記録集:1948年の世界人権宣言(UDHR) へのメキシコのアンパーロ制度の貢献 メキシコ 2015年 2017年1月19日
第38回 麗江のナシ族の東巴古籍 中国 2003年 2017年1月26日
第39回 モーゼス・フランセス・アッシュ・コレクション 米国 2015年 2017年2月2日
第40回 ロアール・アムンセンの南極探検(1910~1912年) ノルウェー 2005年 2017年2月09日
第41回 アイザック・ニュートンの神学と錬金術の論文集 イスラエル 2015年 2017年2月23日
第42回 朝鮮王朝実録 韓国 1997年 2017年3月2日
第43回 ボドメールの蔵書コレクション スイス 2015年 2017年3月16日
第44回 ジェームズ・クックのエンデバー号の日誌 オーストラリア 2001年 2017年3月23日
第45回 ワイタンギ条約 ニュージーランド 1997年 2017年4月6日
第46回 作曲家アラム・ハチャトリアンの原稿と映画音楽のコレクション アルメニア 2013年 2017年4月20日
第47回 儒教冊版 韓国 2015 2017年4月27日
第48回 ジョージア国立公文書館に保存されている最古の写本 ジョージア 2015年 2017年5月4日
第49回 バルトの道-自由への行進での三国を繋ぐ人間の鎖 エストニア、ラトヴィア、リトアニア 2009年 2017年5月18日
第50回 トリデシリャス条約 スペイン・ポルトガル 2007年 2017年5月25日
第51回 ファミリー・オブ・マン(人間家族) ルクセンブルク 2003年 2017年6月1日
第52回 レバノン山のナハル・エル・カルブの記念碑 レバノン 2005年 2017年6月15日
第53回 承政院日記 韓国 2001年 2017年6月22日
第54回 メトロポリス ドイツ 2001年 2017年6月29日
第55回 ノーマン・マクラレンが監督・制作したアニメーション映画「隣人」 カナダ 2009年 2017年7月6日
第56回 ニータ・バロウのコレクション バルバドス 2009年 2017年7月20日
第57回 占星術教程の書 イラン 2011年 2017年7月27日
第58回 ワルシャワ再建局の記録文書 ポーランド 2011年 2017年8月3日
第59回 清内閣秘本書類――中国における西洋文化の浸透 中国 1999年 2017年8月17日
第60回 国家のアーカイヴ-解放者シモン・ボリバルの著作集
ヴェネズエラ 1997年 2017年8月31日
第61回 カルロス・ガルデルの原盤 ウルグアイ 2003年 2017年9月7日
第62回 ワルシャワ・ゲットーのアーカイヴス ポーランド 1991年 2017年9月21日
第63回 ホセ・マルティ・ペレスの記録史料 キューバ 2005年
2017年9月28日
第64回 ゲバラの日記などの記録集 ボリヴィア・キューバ 2013年 2017年10月5日
第65回 異教徒を結ぶ平和条約集 ポーランド 2013年 2017年10月5日
第66回 キルケゴールのアーカイブス デンマーク 1997年
2017年10月12日
第67回 西インド会社の記録文書 オランダほか 2011年 2017年10月19日
第68回 運河建設労働者の記録 パナマほか 2011年 2017年11月2日
第69回 スペイン語に翻訳された語彙 スペイン 2015年 2017年11月9日
第70回 バルバネラ暦書のコレクション イタリア 2015年
2017年11月16日
第71回 上野三碑 日本 2017年 2017年11月30日
を取り上げました。この連載は結構大変な難作業で、特に、それぞれの文書等が所蔵されている文書館や博物館から許諾を得て写真等を送ってもらうことに難儀しました。
また、海外に出た時には、アポイントを取って当該機関を訪問など現地取材等も行いました。
<連載②「ジュエリーを訪ねれば世界遺産に出合う」
(全5回シリーズ完結) レーヌ出版発行「JEWEL」>
-シリーズ1- ダイヤモンド ベルギー
2017年新年号(1月1日発行)
-シリーズ2- ルビー ミャンマー
2017年春号(4月1日発行)
-シリーズ3- サファイア スリランカ
2017年夏号(7月1日発行)
-シリーズ4- エメラルド コロンビア
2017年秋号(10月1日発行)
-シリーズ5- 真珠 バーレーン
2018年新年号(1月1日発行)
<講演とシンポジウム>
●2017年(平成29年) 2月 呉グリーンライオンズクラブ例会講演「世界遺産都市・Kureの実現をめざして」
●4月富山県高岡青年会議所4月例会講演「世界のTAKAOKA遺産を活かしたまちづくり」
●10月 三鷹国際交流協会主催三鷹ネットワーク大学共催・国際理解講座「ユネスコ世界遺産の今とこれから」
<世界遺産写真展>
●第一回目は、2010年に岩手県の一戸町で開催、
●第2回目は、2011年4月から6月に大阪府堺市の大阪府立大型児童館ビッグバンで、
●第3回目は、2011年11月3日(文化の日)に、社団法人射水青年会議所の主催で、富山県の射水市高周波文化ホール(旧新湊中央文化ホール)で、
●第4回目は、2011年11月に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県・宗像市・福津市)の主催で、アクロス福岡2階の交流ギャラリーで、
●第5回目は、2012年4月に、私の母校である「呉市立両城小学校」(呉市)で開催することができました。
●第6回目は、2013年11月に、一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の主催で、アーツ千代田3331(東京都千代田区)で実施された「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」の世界遺産に関する総論解説の部分で、解説パネルの部分出展となりました。
●第7回目は、2015年8月に、公益財団法人新潟県国際交流協会の主催で、新潟県国際交流プラザ(新潟県新潟市)実施された「世界遺産写真展」です。
●第8回目は、2016年3月に、雛祭り普及協会の主催で、広島市西区区民センター(広島市西区)実施した「日本の世界遺産写真展」です。
これらは、行政、企業、学校等との協働活動の成果で、ニーズがあれば、今後も継続していきたいと考えています。
<国際会議への参加>
世界遺産関係は、昨年2016年のトルコのイスタンブールに引き続いて、今年2017年の第41回世界遺産委員会クラクフ会議(ポーランド)に参加しました。
<国内外からのホームページへのアクセス数>
1997年5月15日に開設した私共のホームページ「世界遺産と総合学習の杜」。国内外からのアクセス数は、通算約128万。昨年のこの頃が約126万でしたので、この1年間のアクセス数は、約2万、1日当たり約55ということになります。今後もコンテンツの充実に努め、役立つ情報源にしていきたいと思います。
<個人関係>
一昨年の2016年12月4日、京都の「西本願寺」(ユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つ)の阿弥陀堂で「帰敬式」を受式し「法名」をいただきました。
私は「釋求心」(しゃくぐしん)、妻は「釋瑞華」(しゃくずいけ)です。「法名」とは、仏法に帰依し釈迦の弟子となった人の名前です。また、「院号」とは、宗門や本願寺の護持発展に貢献した人、または、宗門もしくは社会に対する功労が顕著であると認めらた人に授与されます。
「私は「陽光院」、妻は「眞美院」で、それぞれ、陽光院釋求心」、「眞美院釋瑞華」となりました。
2018年は、名に恥じない功徳を積んでいかなければと考えています。
<facebook>
私事では、2011年4月に還暦を迎え、心機一転、新しい取組みを始めました。なかでも、facebookを通じて、旧友、社友、校友、知人とのネットワークの構築と、これまでの自分史をタイムラインで整理することを始めました。開設後約5年が経過し、コンテンツも充実してきましたので、友達の輪を広げていきたいと思います。
世界の60か国、約300の世界遺産地を歴訪、著書に「世界遺産データ・ブック」、「世界記憶遺産データ・ブック」など、全国各地での講演、テレビ出演も多数。 HP:「世界遺産と総合学習の杜」
<コーラス>
昨年2015年以来、コーラスやカラオケも始めました。歌はそんなに上手くありませんが、音楽のリズムは楽しいものです。日本の唱歌、昭和歌謡など「日本の歌」を中心に歌える歌100曲をめざしています。
「日本の歌」と言えば、昔、中央アジアのウズベキスタンのボイスンというところに行った際に、現地の人と交流、「日本の歌」を歌ってくれと言われた時に戸惑ったことを思い出します。
現在、広島市立美鈴が丘公民館での月2回の歌の練習をベースに、イベントなどでの発表も励みになります。ピアノやフルート等の楽器演奏とのコラボレーションも良いものです。
広島、竹原、呉の仲間へと広がっています。知らない地、知らない人たちとも「歌」は共通の言語の様に共有できます。
さて、2018年は戌(いぬ)年、果たしてどんな年になるのでしょうか。
日本政府は、2017年(平成29年)12月8日の閣議で、天皇陛下の退位日を2019年(平成31年)4月30日と定める政令を決定しました。また、皇太子さまは翌2019年5月1日に新天皇に即位され、「平成」は新元号に改元されます。従って、新元号の新しい時代までは、約1年半となります。
また、その翌年の2020年東京オリンピック(第32回夏季オリンピック)は7月24日から8月9日まで開催されます。
アメリカは、2017年10月12日、ユネスコのイリーナ・ボコワ事務総長に「反イスラエルの偏向」と「ユネスコの停滞、組織の根本的な改革が必要」であることを理由に、2018年12月31日付けでユネスコを脱退、それ以降はオブザーバーとして参加すると表明しました。また、イスラエルも同一行動をとるようです。
2018年(戌年)は、これらを視野に入れた取組みや対応をしなければと思っています。なかでも、国際情勢では、アメリカ合衆国のトランプ大統領の言動には注意を払っておかなければと思います。
アメリカ合衆国、大国であるだけに知らないことも多々あります。コロンブスがアメリカ大陸を発見したのが1492年、15世紀です。先住民族の歴史はあるものの、歴史的には、新しい国家です。転機にあるユネスコ遺産の観点からも、「世界遺産ガイド―アメリカ合衆国編―」として整理しておきたいと考えています。
その為には、現地取材も必要なので、まずは、健康であることが大事だと思います。
2018年、「戌(いぬ)」を含むことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語には、次の様なものがあります。
•●犬猿の仲
非常に仲が悪いことのたとえ。
●犬も歩けば棒に当たる
犬も歩けば棒に当たるとは、でしゃばると思わぬ災難にあうという戒め。また、転じて全く逆の意味で、じっとしていないで何でもいいからやってみれば思わぬ幸運にあうことのたとえで使われることもある。
●飼い犬に手を噛まれる
日頃からかわいがり面倒をみてきた者からひどく裏切られたり、害を受けたりすること。
●夫婦喧嘩は犬も食わない
夫婦喧嘩は犬も食わないとは、夫婦喧嘩は、つまらない原因であったり、一時的なものであったりするから、他人が間に入って仲裁したり心配するものではないというたとえ。知らぬ振りが一番。
●犬が西向きゃ尾は東
当たり前すぎるほど当たり前であることのたとえ。
●負け犬の遠吠え
臆病者が本人の前では出来ないくせに、陰では威張ったり悪口を言ったりすることのたとえ。
●尾を振る犬は叩かれず
従順な人は、誰からもひどい仕打ちを受けることはないことのたとえ。
2018年も時間の許す限り、地球的、人類的な視野に立って、世界の時流を読みつつ、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを世界遺産総合研究所を中心に展開してまいります。
長期的には10年、中期的には5年、短期的には2年を視野に入れて、これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と利活用、応用と発展が課題です。
昨年も書きましたが、世界の各地を歩いてみて思うことは、ここ10年、日本の国力や国際競争力が急速に低下している事を色々な面で感じてきました。政治家や当該分野の指導者の責任かもしれませんが、あらゆる分野において、相当、気を引き締めていかないと、国力や国際競争力は、低下していくばかりです。
国家とは何なのか、少子高齢化・人口減少対策、危険性にないエネルギー政策への転換、尖閣諸島、竹島、北方領土などの領土問題、国防のあるべき姿、国家や地方の財政の健全化、国際援助の見直し、政権を担う当事者は、もっと真摯に真剣に取り組まないと、わが国は取り返しのつかない事態に陥ることを大変憂慮しています。
団体主義的風土が陥りやすい意思決定のメカニズムの弊害が様々な局面で露呈、右往左往し迷走してきたようにも思えます。
しかし、安倍政権になってからは、安心感が出てまいりました。景気を回復させ安定、成長型の長期政権を望みたいと思います。地方あっての中央ですが、地方の創成と再生は、喫緊の課題ですが、私のライフワークである「ユネスコ遺産」は、地方の活性化や地域の振興を図っていくのに、大変有効な普遍的なテーマです。
さて、世界遺産ですが、2018年の第42回世界遺産委員会マナーマ会議(バーレン)では、自然遺産関係で「Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island,
the northern part of Okinawa Island, and Iriomote Island」(奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島)、文化遺産関係で「Hidden
Christian Sites in the Nagasaki Region」(長崎と天草地方の潜伏キリスタン関連遺産)の2件が新登録の候補にあがっています。
世界無形文化遺産については、第13回無形文化遺産委員会ポートルイス会議〈モーリシャス〉では、日本の「来訪神:仮面・仮装の神々」が候補になっています。
世界遺産条約の目的は、かけがえのない世界遺産を、あらゆる脅威や危険から守っていくこと、また、その為の国際的な援助の体制をつくっていくことも大切なのですが、文化財の保存や修復など理工学的なアプローチに傾斜し過ぎてきた様に思います。
自然遺産や文化遺産への脅威や危険、これらへの対策については、理工科学的な知見も重要なのですが、人為的な脅威や危険については、政治や経済など社会科学的な見地からのアプローチが最も重要であり、地球と人類の遺産を守っていく仕組みやメカニズムなどは既成の概念や価値観にとらわれないパラダイムの転換が求められているのかもしれません。
2018年も、異文化である「洋の文化」、日本らしい「和の文化」、そして、「和洋折衷の文化」などその違いや類似する点などを認識できる文化空間を充実させ、固定観念や先入観にとらわれない「交流」と「対話」を重ねていきたいと考えています。
なかでも、「和の文化」については、失われつつある日本の節句文化、すなわち、七草の節句(人日の節句)、桃の節句(ひな祭り)、菖蒲の節句(端午の節句)、笹の節句(七夕の節句)、菊の節句(重陽の節句)の復興、復活を望むものであり、全国各地の節句文化にかかわる行事、歳時記、風物詩、それに、保存と継承あり方などの研究を深化させていきたいと考えています。
なかでも、「ひな祭り」と「鯉のぼり」については、日本へ来られる外国人の方々にもお見せできるお手本となるものを見い出していきたいと考えています。
「世界の記憶」(旧世界記憶遺産)については、2018年1月に、データブックの改訂版である「世界の記憶データ・ブック」(世界記憶遺産データ・ブックから改名)の2017~2018年版を発刊します。
また、2015年7月に幻冬舎から「世界の記憶遺産60」を出版したことでもあり、人間、人類、世界、地球などの「記憶」や「記録」についての調査研究、連載「世界記憶遺産の旅」など通じて、今後も深化させ、充実させていきたいと考えています。
なにはともあれ、健康が第一、無理をせず、自然体、ボランティア精神で、報恩謝徳につとめてまいります。引き続きご支援をお願い致します。
2017年12月吉日 古田 陽久
|