各 位
2014年は、当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所にとって、これまで、パラレルに研究を進めてきたユネスコの「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界記憶遺産」を、「ユネスコ遺産」に総合化、統合化する試みに、一定の成果をあげられた年だと自己評価しています。この一年間の特記事項を下記します。
一つは、テレビとラジオへの出演、新聞社からの取材です。特に、ニュースについては、速報性で勝るテレビやラジオの威力を感じます。また、私事ではありましたが、2014年4月11日に全国放送されたNHK総合「ゆうどき」<行ってみたい>『レンガが息づく港町(広島県呉市)』は、大きな反響がありました。
<TVへの出演>
●フジテレビ「めざましテレビ・アクア」 『富岡製糸場に続け!世界遺産候補地を調査』(2014年5月9日)
●TBSテレビ「ひるおび」 『歓喜"パーフェクトに近い勧告"富岡製糸場・世界遺産へ』(2014年4月28日)
●フジテレビ「めざましテレビ・セブン」 『富岡製糸場が世界遺産登録へ』(2014年4月28日)
●NHK総合 「ゆうどき」<行ってみたい>『レンガが息づく港町(広島県呉市)』(2014年4月11日)
●NHK総合「ウイークエンド関西」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~(2014年4月5日)
●NHK総合「おはようちゅうごく」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~(2014年4月5日)
●NHK総合「おはよう四国」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~(2014年4月5日)
●NHK総合「おはようサタデー九州沖縄」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~(2014年4月5日)
<ラジオへの出演>
●JーWAVE「THE CUTTING
EDGE」 『日本のものづくりの原点・富岡製糸場』 (2014年4月28日)
<新聞記事>
●日刊いわくに「錦帯橋の世界遺産登録 市民の熱意を」(2014年1月29日)
●読売新聞朝刊九州・山口総合面 「2015年世界記憶遺産候補」の特集記事 (2014年4月9日)
●読売新聞朝刊 解説面 「記憶遺産 中韓に後れ 国内選考 欠ける戦略」 (2014年6月18日)
●東京新聞朝刊 「富岡製糸場 世界遺産に 魅力発信・継承へ課題」 (2014年6月22日)
●朝日新聞夕刊 「あのときそれから世界遺産」 (2014年9月20日)
●台湾・中央日報 「日本申遺經驗交流分享 阿里山世界遺產國際交流工作坊開跑」(2014年10月3日)
●台湾・101新聞網 「日本分享阿里山世界遺產國際交流工作坊開跑」」(2014年10月3日)
●日刊いわくに「きょう商議所 世界遺産研究の先駆者 古田陽久氏迎えてミニ講演」(2014年10月22日)
●山口新聞朝刊「世界文化遺産に登録へ戦略探る」(2014年10月23日)
●日刊いわくに「世界遺産への戦略 まずは暫定リスト目標」(2014年10月24日)
二つは、出版活動です。紙媒体での出版は、企画、取材、編集、整理、組版、印刷、製本、流通、販売と読者に届くまでに、多くの手間と多くの方々のご協力がなければ成り立ちません。デジタル化の進行で、出版流通にも大きな変化が起こりつつあります。本が売れない時代になりました。パソコン、インターネット、携帯電話などの普及で、ニュースなど様々な情報を新聞や書籍を読まなくても調べることが出来る様になったからです。
本が売れない時代に一般受けしない本を小出版するのは大変勇気がいります。しかし、大学の教科書等で、毎年、採用してくださる先生もおられます。これまで2度、<出典>として入試問題に出題された作品もあり、一次情報としての正確さを期しています。今年の実績は、7タイトル、通算189タイトル(達成率 94.5%)。目標の200タイトルまで、あと11タイトル。達成までには、数年はかかりそうですが、テーマを厳選していきたいと思います。より良い作品を創る為には、玉石混淆のより多くのものを自分自身の眼で見、その違いを理解することに留意しています。
●世界無形文化遺産データ・ブック-2014年版- ISBN978-4-86200-183-2 (2014年3月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産ガイド-ユネスコ遺産の基礎知識- ISBN978-4-86200-184-9 (2014年3月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産ガイド-地形・地質編- ISBN978-4-86200-185-6 (2014年4月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産ガイド-生態系編- ISBN978-4-86200-186-3 (2014年4月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産ガイド-日本編-2015改訂版 ISBN978-4-86200-187-0 (2014年8月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産データ・ブック 2015年版 ISBN978-4-86200-188-7 (2014年8月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
●世界遺産事典-1007全物件プロフィール-2015改訂版 ISBN978-4-86200-189-4 (2014年8月)
日本図書館協会選定図書館
全国学校図書館協議会選定図書
三つは、「世界記憶遺産の旅」というテーマで、ユネスコの世界記憶遺産に登録されている32の世界記録遺産を紹介する連載の機会に恵まれたことです。この作業は結構大変で、特に、それぞれの文書等が所蔵されている文書館や博物館から許諾を得て写真等を送ってもらうことに難儀しました。また、海外に出た時には、アポイントを取って当該機関を訪問など取材等も行いました。
四つは、講演とシンポジウムです。1月の世界人権宣言大阪連絡会議主催の第357回国際人権規約連続学習会では、「ユネスコ世界記憶遺産とは何か?」、同じく、1月の岩国西ロータリークラブ1月例会では、「世界遺産と錦帯橋」、2月の大阪ユネスコ協会・関西ハンガリー交流協会共催の新年会では、「世界遺産の最近の話題あれこれ」、6月の一般社団法人広島県計量協会定時総会では、「これからの世界遺産の話題あれこれ」、7月の日本国際連合協会関西本部総会では、「富岡製糸場と絹産業遺産群などユネスコ遺産の話題あれこれ」、8月の一般社団法人日本人形協会総会では、「ユネスコ遺産の話題あれこれ」、10月の台湾での嘉義県文化観光局主催の国際ワークショップ『世界遺産潜力点 阿里山森林鉄道の保全計画』では、「世界遺産の現状と課題-台湾からも世界遺産を-」、国立雲林科技大学設計学院博士課程「日本の世界遺産の現状とこれからの課題」、同じく10月の錦帯橋を世界文化遺産に推す会主催の講演会では、「錦帯橋世界文化遺産登録への道標と戦略を探る」について、お話させていただきました。
なかでも、台湾からは、国際ワークショップへの招請があり、また、嘉義県知事から県政府の世界遺産顧問を委嘱されましたことは、今後も、台湾とのご縁が続くものと理解しました。台湾からの世界遺産の誕生の実現に向けて、知恵を絞ってみたいと思います。
また、岩国とのご縁です。1月に、呉の高校の同級生とのご縁で、岩国西ロータリークラブの例会で、「世界遺産と錦帯橋」について、お話させていただいたのに続いて、10月に、ご縁があって、「錦帯橋を世界文化遺産に推す会」主催の講演会で、「錦帯橋世界文化遺産登録への道標と戦略を探る」について、お話させていただきました。
台湾にしろ岩国にしろ、リピートの要請というのは、嬉しいものです。私が住んでいる所からだと、広島空港に行くよりは、2年前の2012年(平成24年)12月13日に開港した岩国錦帯橋空港へ行く方が近いこともあって、岩国に行く機会を増やしたいと考えています。この11月に試乗してみましたが、東京便の便数を増やすことと、揺れの少ない機体の大型化に期待したいと思います。
五つは、国際会議への参加です。世界遺産関係は、昨年のカンボジアのプノンペンに引き続いて、第38回世界遺産委員会ドーハ会議(カタール)に、世界無形文化遺産関係では、第9回無形文化遺産委員会パリ会議(フランス)に参加しました。
六つは、海外の世界遺産、世界無形文化遺産、世界記憶遺産の視察です。今年は、5回、海外に出ました。1月に中国とスペインとポルトガル、3月にカタールとモロッコ、6月にカタール、10月に台湾、11月にフランスの7か国です。航空会社の選択と乗継ぎ時間を上手く利用できました。通算約60か国、約300の世界遺産地を訪問したことになります。
同じ世界遺産地等でも、春、夏、秋、冬の季節が異なる時期では、まちの風景や行事にも違いがあります。また、「ヨーロッパ」と「アジア」の文化の比較、それに、世界遺産の数が上位にある国、イタリア、中国、スペイン、フランス、ドイツ、メキシコ、インド、英国、ロシア連邦、米国の世界遺産の保護管理システムの研究を深化させています。
七つは、国内では、北海道の札幌のサッポロビール園・サッポロビール博物館、小樽の鰊御殿、余市のニッカウイスキー余市蒸溜所、東北の青森県の下北半島と津軽半島、秋田県の男鹿半島のみちのく三大半島、大阪府の難波宮跡、応神御陵、京都府の舞鶴引揚記念館、天橋立、伊根の舟屋、伏見稲荷大社、京都府立総合資料館、柳原銀行記念資料館、奈良県の御所市柏原の水平社博物館、橿原の藤原宮跡、藤原京朱雀大路跡、今井町の重伝建、兵庫県の姫路城、竹田城跡、岡山県の吉備津神社、備中高松城址、広島県のカトリック幟町教会世界平和記念聖堂、旧陸軍被服支廠、酒都西条、呉の地方総監部第一庁舎、両城の階段住宅、山口県の萩の萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、萩城下町、松下村塾、山口の瑠璃光寺、常栄寺雪舟庭、防府の毛利氏庭園、柳井の重伝建、岩国の錦帯橋、錦川清流鉄道、愛媛県の大山祇神社、マイントピア別子、高知県の四万十川、四国遍路など多様なポテンシャル・サイトを回りました。
八つは、これまでに撮りだめてきた世界遺産の写真を一般の方々に公開する「世界遺産写真展」です。第一回目は、2010年に岩手県の一戸町で開催、第2回目は、2011年4月から6月に大阪府堺市の大阪府立大型児童館ビッグバンで、第3回目は、2011年11月3日(文化の日)に、社団法人射水青年会議所の主催で、富山県の射水市高周波文化ホール(旧新湊中央文化ホール)で、第4回目は、2011年11月に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県・宗像市・福津市)の主催で、アクロス福岡2階の交流ギャラリーで、第5回目は、2012年4月に、私の母校である「呉市立両城小学校」(呉市)で開催することができました。第6回目は、2013年11月に、一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の主催で、アーツ千代田3331(東京都千代田区)実施された「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」の世界遺産に関する総論解説の部分で、解説パネルの部分出展となりました。これらは、行政、企業、学校との協働活動の成果で、ニーズがあれば、今後も継続していきたいと考えています。
九つは、1997年5月15日に開設した私共のホームページ。国内外からのアクセス数は、通算約119万。今後もコンテンツの充実に努めてまいります。
私事では、2011年4月に還暦を迎え、心機一転、新しい取組みを始めました。なかでも、facebookを通じて、旧友、社友、校友、知人とのネットワークの構築と、これまでの自分史をタイムラインで整理することを始めました。開設後約3年が経過し、コンテンツも充実してきました。
さて、2015年は羊年、果たしてどんな年になるのでしょうか。2015年は、戦後(敗戦後、被爆、終戦)70年の節目の年を迎えることです。
年明け早々ですが、1月13日から20日間、「東南アジアクルーズ」、3月12日から6日間、「小笠原と硫黄島周遊クルーズ」で、船旅です。いずれも、船内での講演の仕事ですが、空路や陸路ではなかなか行けない世界遺産地に行けるので、大変嬉しい仕事の一つですが、準備が大変です。
2015年も時間の許す限り、地球的、人類的な視野に立って、世界の時流を読みつつ、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを世界遺産総合研究所を中心に展開してまいります。長期的には10年、中期的には5年を視野に入れて、これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と利活用、応用と発展が課題です。
昨年も書きましたが、世界の各地を歩いてみて思うことは、ここ10年、日本の国力や国際競争力が急速に低下している事を色々な面で感じてきました。政治家や当該分野の指導者の責任かもしれませんが、あらゆる分野において、相当、気を引き締めていかないと、国力や国際競争力は、低下していくばかりです。
国家とは何なのか、少子高齢化・人口減少対策、エネルギー政策の転換、尖閣諸島や竹島などの領土問題、国防のあるべき姿、国家の財政の健全化、国際援助の見直し、政権を担う当事者は、もっと真摯に真剣に取り組まないと、わが国は取り返しのつかない事態に陥ることを大変憂慮しています。団体主義的風土が陥りやすい意思決定のメカニズムの弊害が様々な局面で露呈、右往左往し迷走してきたのも事実です。
しかし、安倍政権になってからは、安心感が出てまいりました。景気を回復し安定、成長型の長期政権を望みたいと思います。地方あっての中央ですが、地方の再生と創生は、喫緊の課題ですが、「ユネスコ遺産」は、地方の活性化や地域の振興を図っていくのに、有効的です。
さて、世界遺産の話題に戻すと、2015年の第39回世界遺産委員会ボン会議で、日本の「明治日本の産業革命遺産
九州山口と関連地域」が候補になっています。一方、第10回無形文化遺産委員会ナミビア会議では、日本からの候補はありません。世界記憶遺産は、2年ぶりになりますが、日本の「東寺百合文書」 <所蔵機関>京都府立総合資料館(京都市左京区)と「舞鶴への生還-シベリア抑留等 日本人の本国への引き揚げの記録」
<所蔵機関>舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)の2つが候補になっています。
世界遺産条約の目的は、かけがえのない世界遺産を、あらゆる脅威や危険から守っていくこと、また、その為の国際的な援助の体制をつくっていくことも大切なのですが、文化財の保存や修復など理工学的なアプローチに傾斜し過ぎている様に思います。
自然遺産や文化遺産への脅威や危険、これらへの対策については、科学的な知見も重要なのですが、人為的な脅威や危険については、政治や経済など社会科学的な見地からのアプローチが最も重要であり、地球と人類の遺産を守っていく仕組み、メカニズムなどパラダイムの転換が求められています。
2015年も、異文化である「洋の文化」、日本らしい「和の文化」、そして、「和洋折衷の文化」などその違いや類似する点などを考える文化空間を充実させ、固定観念や先入観にとらわれない「交流」と「対話」を重ねていきたいと考えています。
なかでも、「和の文化」については、失われつつある日本の節句文化、すなわち、七草の節句(人日の節句)、桃の節句(ひな祭り)、菖蒲の節句(端午の節句)、笹の節句(七夕の節句)、菊の節句(重陽の節句)の復興、復活を望むものであり、全国各地の節句文化にかかわる行事、歳時記、風物詩などの研究を深化させていきたいと思います。なかでも、「ひな祭り」と「鯉のぼり」については、日本へ来られる外国人の方にお見せできるお手本となるものを発見したいと考えています。
また、2011年12月に「世界記憶遺産データ・ブック」を発刊、2013年11月に改訂版の2013~2014年版を発刊したことでもあり、人間、人類、世界、地球などの「記憶」や「記録」についての調査研究も深化させ、充実した2015~2016年版にしたいと考えています。
なにはともあれ、健康が第一、無理をせず、自然体で事に臨んでいきたいものです。引き続きご支援をお願い致します。人生は、「旅」や「遍路道」にたとえられます。
合間を見て、少しずつ回ってきた四国のお遍路さん、88か寺の霊場のうち、これまでに、78か寺(進捗率 88.6%)を回ってきました。残すところ、第12番 焼山寺(徳島県神山町)、第24番 最御崎寺(高知県室戸市)、第25番 津照寺(高知県室戸市)、第26番 金剛頂寺(高知県室戸市)、第27番 神峰寺(高知県安田町)、第38番 金剛福寺(高知県土佐清水市)、第44番 大宝寺(愛媛県久万高原町)、第45番 岩屋寺(愛媛県久万高原町)、第60番 横峰寺(愛媛県西条市)、第66番 雲辺寺(香川県三好市)の10か寺になりました。
2014年12月吉日
古田 陽久
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