天橋立と丹後半島は、京都府北部、日本海に面した丹後地方にある。天橋立は、日本を代表する景勝地で、松島、宮島と共に日本三景の一つに数えられ、約7000本の松林が続く、長さ3.3kmの砂州である。
天橋立の風景は、古くから、百人一首、丹後国風土記、それに、雪舟の「天橋立図」などの文学や書画で表現され、国の特別名勝に指定されていると共に日本の白砂青松百選にも選定されている。
天橋立の松林は、防風林、防砂林、防潮林として、古くから地元住民の生活を守りながら、人々の日常生活にかかせない燃料や肥料の供給源としての役割も果たしてきた。
一方、天橋立は、近年、侵食によって、縮小、消滅の危機にあると共に、松並木も、松枯れ被害による枯損、台風による倒木などの被害や、高齢樹の衰弱などで危機にさらされている。
天橋立がある丹後半島の海岸線は、山陰海岸国立公園、若狭湾国定公園に指定され、内陸部には、大和朝廷の成立に大きな影響を及ぼした丹後王国の一大勢力の存在を示す前方後円墳の網野銚子山墳や神明山古墳、それに白米山古墳など数多くの考古学的遺跡が発掘されている。
また、丹後半島には、漁村集落で国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている伊根の舟屋、日本の音風景百選や日本の渚百選に選定されている鳴き砂の自然現象で知られる琴引浜、それに、江戸時代以降、丹後ちりめんの生産・集積・流通、北前船による交易で繁栄した古い町並みなど、この地方独特の重要な文化的景観を呈している。
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