第28回世界遺産委員会蘇州会議
速 報
順次、新しい情報を書き加えてまいります。






 2004年6月28日から7月7日まで,中国江蘇省蘇州市(人口 210万人<大都市圏580万人> 面積 1,650ku<8,488ku>)の都市計画センター(Changxu Road, Suzhou)の会議場で,第28回世界遺産委員会(178か国の世界遺産条約締約国から選ばれたアルゼンチン,中国,コロンビア,エジプト,レバノン,ナイジェリア,オーマン,ポルトガル,ロシア,セントルシア,南アフリカ,イギリス,チリ,インド,クウェート,ニュージーランド,ベニン,日本,リトアニア,オランダ,ノルウェーの21か国の委員国で構成)が開催されます。議長は,中国の章新勝(Mr Zhang Xinsheng)教育次官が務める予定です。

 第28回世界遺産委員会には、100を越える世界の国々から1000人近い人々が出席するものとみられており、蘇州市では、市内の美化活動、それに、キャラクター・マスコットが登場するなど、市あげての歓迎の気運が高まっています。

 第28回世界遺産委員会では、下記の公式行事、エクスカーション、イベントが予定されています。  


<公式行事スケジュール>

 6月28日 開催式
 6月28日〜7月7日 第28回世界遺産委員会
 7月3日 休会
 7月6日 パートナーシップ・プレゼンテーション
 7月7日 報告書の採択

 6月28日 中国政府主催の歓迎宴会
 7月2日 江蘇省主催の宴会・演芸
 7月5日 蘇州市主催の宴会・演芸
 7月6日 ユネスコ世界遺産センター主催のカクテル・パーティー

<エクスカーション>

 6月29日(夕方)  盤門地域、運河
 7月3日 午前: 蘇州市内観光(虎丘、拙政園、環秀山荘等)
      午後: 周荘 (水郷都市)
 7月7日 午前: 同里 (水郷都市)

<イベント>

 6月1日〜6月25日 世界遺産展プレ展示
 6月26日〜7月15日 世界遺産展
 7月7日 世界遺産記念壁(World Heritage Walls) 完成式
      (蘇州工業園区にある金鶏湖の東。記念壁と周囲の景観を含めた敷地面積は約1.7ha、この壁には、現在、
       世界遺産として登録されている中国の29物件32か所の名勝旧跡の彫刻作品が嵌められる)



 今回は,北朝鮮のNominated Complex of Koguryo Tombs「高句麗古墳群」、中国のCapital Cities,Imperial tombs and Nobles' Tombs of Koguryo「高句麗の古代都市や皇族と貴族の古墳群」、 日本の Sacred Sites and Pilgrimage Routes in the Kii Mountain Range, and the Cultural Landscape that surround them「紀伊山地の霊場と参詣道」、バーレンのHawar Islands「ハワル諸島」、ヨルダンのUm er-Rasas (Kastrom Mefa'a) 「ウム・エル・ラサス (カストロン・メファー)」、イランのPasargadae「パサルガダエ」、インドのChhatrapati Shivaji Terminus (formerly Victoria Terminus) Station「チャトラパティ・シヴァージー・テルミナス(旧ヴィクトリア・テルミナス)駅」、Champaner-Pavagadh Archaeological Park「Champaner-Pavagadh考古学公園」、インドネシアの Tropical Rainforest Heritage of Sumatra「スマトラの熱帯雨林」、オーストラリアのRoyal Exhibition Building and Carleton Gardens「カールトン庭園と王立展示館」、キプロスのWine Village Terraces「ワイン村の棚畑」、ポルトガルのIlhas Selvagens「セルヴァージェンス諸島」、アンドラのLa Vallee du Madriu-Claror-Perafita「マドリュウ・クラロー・ペラフィタ渓谷」、イタリアのVal d'Orcia「オルチャ渓谷」、Etruscan Necropolises of Cerveteri and Tarquinia「チェルヴェテリとタルクィニアのエトルスクのネクロポリス」、アイスランドのTingvellir National Park「シングヴェトリル国立公園」、イギリスのLiverpool - Maritime Mercantile City「リバプール-海商都市」、ドイツのDresden Elbe Valley「ドレスデンのエルベ渓谷」、ドイツとポーランドの国境にまたがるPark Muzakowski / Muskauer Park「Muzakowski公園 / Muskauer公園」、オーストリアのHohe Tauern National Park (core zone) Carinthia, Salzburg, Tyrol「ホーエ・タウエルン国立公園 (核心地帯) ケルンテン, ザルツブルク, ティロール」、チェコのRock Cities of the Bohemian Paradise「ボヘミアン・パラダイスの岩の都市群」、スロヴァキアの Primeval Forests of Slovakia「スロヴァキアの原生林」、ハンガリーのPalaeohabitat of Tarnoc「タルノックの古生物地」、デンマークの Ilulissat Icefjord「イルリサート・アイスフィヨルド」、スウェーデンの Varberg Radio Station「ヴァルベルイのラジオ局」、ノルウェーのVegaoyan - The Vega Archipelago「ヴェガ群島」、リトアニアのKernave Archaeological Site (Cultural Reserve of Kernave)「Kernave考古学遺跡 (Kernave文化保護区)」、エストニアのKuressaare Fortress「クレッサーレ要塞」、セルビア・モンテネグロのDecani Monastery「デチャニ修道院」、アゼルバイジャンのGobustan Rock Art Cultural Landscape「ゴブスタン岩画の文化的景観」、カザフスタンのPetroglyphs within the Archaeological Landscape of Tamgaly「タムガリの考古学的景観内のペトログラフ」、マリの Le Tombeau des Askia「アスキアのTombeau」、トーゴの Koutammakou (le pays des Batammariba)「Koutammakou (バタムマリバ地方)」、南アフリカのCape Floral Region of South Africa「南アフリカのケープ花卉地域」、メキシコの Luis Barragan House and Studio「ルイス・バラガン邸と仕事場」、セント・ルシアのPitons Management Area「ピトン管理地域」、パナマのCoiba National Park「コイバ国立公園」、コスタ・リカのCorcovado National Park and Isla del Cano Biological Reserve「コルコヴァド国立公園とカニョ島生物保護区」、エクアドルの Lacs du Cajas et Ruines de Paredones「カハス湖群とパレドーネス遺跡」などIUCN(国際自然保護連合)やICOMOS(国際記念物遺跡会議)が現地調査を行い評価した50の新登録候補物件について、「世界遺産リスト」への登録の可否などが審議されます。(新登録物件の数の上限を暫定的に30物件と決めた,いわゆる「ケアンズ・デシジョン」に準拠すると20物件以上が落選することになりますので、楽観はできません)

 世界遺産がまだない初出国としては、北朝鮮、バーレン、アンドラ、アイスランド、トーゴ、セント・ルシアなどであり、これらの国々から新たな世界遺産が誕生することが期待されています。

 なかでも、北朝鮮の「高句麗の古墳群」については,昨年,パリで開催された第27回世界遺産委員会で,真正性についての再評価,保全状況,国境をはさんで,中国側の「高句麗の古代都市や皇族と貴族の古墳群」を含めた登録範囲の見直しなどの課題があって,登録が見送りになった経緯があり,2物件として登録されるのか,国境をまたぐ1物件として登録されるのかが注目されています。

 日本からは,「紀伊山地の霊場と参詣道」が候補にあがっていますが、申請通りに登録されれば、日本では、12番目の世界遺産が誕生することになります。

 一方において、Classical Gardens of Suzhou「蘇州の古典庭園」は、いにしえの町並みなどを含めた登録範囲の拡大・延長で、the Ancient City of Suzhou「古都蘇州」に改称される見込みです。また、ロシア連邦のWestern Caucasus 「西コーカサス」もTeberdinskiy Natural Reserveが含まれ、イギリスの St. Kilda「セント・キルダ」も 登録範囲が拡大される見込みです。


 また、世界遺産保護の為のグローバル・ストラテジー、世界遺産地を保護管理する為の各国の努力、国際援助・協力のあり方などについても話合われます。

 世界遺産が決まるまでの仕組みや世界遺産への理解を一層深める為,昨年に続いて,当シンクタンクの代表者 古田 陽久と事務局長の古田 真美もオブザーバーの一員として参加致します。

 会議の詳細については,世界遺産講座世界遺産勉強会・研究会などで,ご紹介していきたいと考えております。

 また,第28回世界遺産委員会での新登録物件を含めた最新のユネスコ世界遺産の一覧については,当シンクタンク発刊の「世界遺産データ・ブック−2005年版−」(2004年8月発刊),新登録物件の概要については,刊行中の「世界遺産ガイド」シリーズの中で,適宜,紹介してまいります。



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世界遺産総合研究所 古田陽久
The Sekaiisan Research Institute
〒731-5113 広島市佐伯区美鈴が丘緑三丁目4番3号
4-3, Misuzugaokamidori 3-chome, Saeki-ku, Hiroshima-city, Japan
電話ファックス 082-926-2306
電子メール wheritage@tiara.ocn.ne.jp        
インターネットURL http://www.dango.ne.jp/sri/
出版物のご案内 http://www.dango.ne.jp/sri/publicationguide.htm
世界遺産情報館 http://www.dango.ne.jp/sri/whinformation.html
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古田への取材、新聞や雑誌などへのコラム投稿については、出来るだけご協力したいと思いますので、世界遺産総合研究所事務局まで、ご連絡下さい。








蘇州市のプロフィール


 蘇州市は、江蘇省の東部にあり、古くから「上有天堂、下有蘇杭」」(天上に極楽あり、地上に蘇州と杭州あり)と称えられた歴史文化都市です。

 蘇州は、上海の西約70km、太湖の東北にあり、気候は温暖で市内には、水郷が発達し、水の都としても知られています。13世紀に中国を訪れたマルコ・ポーロは、蘇州を「東洋のベニス」とたとえました。

 蘇州は、紀元前514年に、春秋時代の呉の都として発展して以来、歴史的にも政治的な中心地として栄え、清代には江蘇省の省都にもなった古都でもあります。

 その昔、中国の豪族たちはこの地で花鳥風月に囲まれ余生を送ることを理想としました。

 蘇州には名勝旧跡が多く、盤門、虎丘の斜塔、霊岩山、それに、ユネスコの世界遺産にも登録されている拙政園、留園、網師園、環秀山荘、獅子林、滄浪園、芸圃、退思園など中国式の古典庭園が数多くあります。

 また、寒山寺は、唐詩「楓橋夜泊」(張継作)にもうたわれ、高僧寒山にちなんで名付けられた寺としても名高いことは、よく知られています。

 蘇州の特産品としては、両面刺繍や白檀の扇子が有名です。

 蘇州は、近年、シンガポール蘇州工業園区(蘇州工業パーク)の開発等、多くの外国企業が進出し、活力ある経済発展を遂げています。

 蘇州の知名度は、日本でも高く、古くは、渡辺はま子や李香蘭が歌った「蘇州夜曲」、近年では、尾形大作が歌った「無錫旅情」がヒットし、題名や歌詞の中に地名が登場し、有名です。





江蘇省・蘇州市とわが国地方自治体との友好(姉妹)提携の状況
江蘇省 愛知県
江蘇省 福岡県
蘇州市 石川県金沢市
蘇州市 京都府亀岡市
蘇州市 大阪府池田市
蘇州市滄浪区 福岡県八女郡広川町
蘇州市五県 大分県日田郡大山町






世界遺産関係の参考文献
世界遺産データ・ブック−2004年版−
世界遺産マップス−2003改訂版−
世界遺産ガイド−世界遺産条約編−
世界遺産Q&A−世界遺産の基礎知識−
世界遺産キーワード事典
世界遺産入門−過去から未来へのメッセージ−
世界遺産学入門−もっと知りたい世界遺産−
世界遺産ガイド−北東アジア編−
世界遺産ガイド−歴史都市編−
世界遺産ガイド−中国・韓国編−
世界遺産ガイド−自然景観編−
世界遺産ガイド−日本編−2.保存と活用
世界遺産ガイド−文化遺産編−4.文化的景観
誇れる郷土ガイド−近畿編−
誇れる郷土ガイド−全国47都道府県の誇れる景観編−
誇れる郷土ガイド−国際交流・協力編−
誇れる郷土ガイド−全国の世界遺産登録運動の動き−
















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