「働くことの意義」を考える









 母校の「総合的な学習の時間」で、「働くことの意義」をテーマとするパネルディスカションが実施され、パネラーの一人として招かれた時の記録です。

 「働くことの意義」をじっくり考える時間もなく懸命に生きてきた自分にとって、過去を回顧してみる良い機会にもなりました。

 下記は、パネルディスカションに先立って寄せられた質問に対しての私見や私観です。人それぞれの
生き方に正解はなく多様な生き方があっても良いと思います。

 しかしながら、好き勝手にということではなく、それぞれが主体性をもって、精神的にも経済的にも自立して生きていけることが大切だと思います。

 人生は決して平坦なものではありません。壁にぶちあったりスランプに陥ることも、しばしばあります。
努力を継続しているからこそ壁がありスランプもあるのです。

 自分のことをわが身同然に考えてくれるのは家族です。また、逆境の時の友こそが真の友です。

 自分の人生経験を後進に役立ててもらえる様な人生の第三ステージに備えて、自分の人生経験の
棚卸と完結に向けての仕上げをしないといけない年代になってきました。 
                                                古田 陽久





広島県立呉三津田高校 総合的な学習の時間 パネルディスカション





Q1.ニート(NEET=Not in Employment, Education or Training)は、
 「働かない」のでしょうか?(個人の意識や意欲の問題) 

 「働けない」のでしょうか?(社会や経済の仕組みとの関連)
  また、その背景をどのように分析されていますか?


 「働かない」人と「働けない」人の両方のケースがあると思います。前者については、意識の欠如や意欲の喪失、後者については、自分を受け入れてくれる就業の場がない状態で「行き場が無い状況」が想定されます。

 それぞれの背景については、ニートの状況になる経緯があると思いますが、経済環境の閉塞状況(少しずつ明るさは見えてきましたが)など「社会的に受け入れる場所」が狭められているのではないかと思います。


Q2.ニートは、このままでは増加する傾向にありますが、そのことで、最も問題なのは
   どういうことだとお考えでしょうか?


 社会活動に参加していない為、将来の社会的なコスト、社会的な負債を抱える可能性があることです。


Q3.あなたのお考えになる(あるいは、実行されている)ニート支援(あるいは、ニート
   にしないための支援)の方法を教えて下さい。


 ニートにしない為の支援としては、モラールの向上、モチベーションをたかめることへの協力が出来ればと考えています。一人の親としての立場では、子供が精神的にも経済的にも自立して生きていける環境を整えてやることと後押しができればと考えています。

 

Q4.あなたは、現在の仕事に、満足感や充実感をお持ちですか?
  (満足・やや満足・不満)それは、なぜですか?


大きな会社を退職後、やりたいと思っていたことの一つの目標に到達しつつあることです。


Q5.このパネルディスカッションの聴衆である高校生(3年生)に、
   メッセージをお願いします。


 若い時は、無限の可能性があるのだから、出来るだけ広い視野をもって、失敗を恐れず自分の夢の実現に向かって邁進してもらいたいと思います。

 中学や高校での基礎的な学習は、その後の人生においてもベースになるものであり、決して無駄な努力にはならないと思います。

 人それぞれの生き方に正解はないと思います。人それぞれに顔が異なる様に人それぞれに
個性的な人生があってもいいはずです。しかしながら、生きている以上、人に迷惑をかけたり、出来るだけ他には依存はしたくないものです。


 また、人生は、決して平坦なものではありません。良い時もあれば悪い時もある。「辛さ」や「しんどさ」を経験してこそ、真の「喜び」や「楽しさ」の感じ方も異なってくるのだと思います。

 下記は、私の人生経験を通じて、みなさんに贈る言葉です。また、高校の「現代社会」の科目でも学ぶと思いますが、『マズローの欲求(欲望)段階説』に基づく体験的自説、私の人生観と社会観などを紹介しておきましょう。



贈る言葉

健康第一
Never Give Up(決して諦めるな)
よく学び、よく遊べ
継続は力
意志あるところに道あり
捨てる神あれば拾う神あり
人間(人生)至るところに青山あり
往く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず
ローマは一日にしてならず
なるようにしかならない


マズローの欲求(欲望)段階説 と体験的自説

 アブラハム・マズロー(1908年〜1970年 A.H.Maslow アメリカの心理学者)は、彼が唱えた欲求段階説の中で、人間の欲求は、5段階のピラミッドのようになっていて、底辺から始まって、1段階目の欲求が満たされると、1段階上の欲求を志すというものです。

 人間の欲求の段階は、生理的欲求、安全の欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求があります。生理的欲求と安全の欲求は、人間が生きる上での衣食住等の根源的な欲求、親和の欲求とは、他人と関りたい、他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲求で、自我の欲求とは、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊敬されることを求める認知欲求のこと、

 そして、自己実現の欲求とは、自分の能力、可能性を発揮し、創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求のことです。

 ここで、敢えて、マズローの欲求段階説を引合いに出したのは、優秀な人ほど、この欲求の段階を駆け上がるのは早いが、自己実現を果たし自己超越の域に達する人はきわめて少ないこと、数多くの人が階段を踏み外し、これまで、その人にとって当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなるような状況に陥っています。

 人生にとって、失敗を恐れないチャレンジ精神は、きわめて重要ですが、就職、転職、起業、独立など人生の節目においても、同じ様な体験をする場合があります。
  

私の人生観と社会観

山道を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。(夏目 漱石『草枕』の冒頭文より)

座右の銘 大局本道、一所懸命

好きな言葉

「顕著な普遍的価値」、「ローマは一日にして成らず」、「継続は力」、「組織が仕事をするのではなく人がする」、「Seeing is Believing」、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」(ユネスコ憲章の冒頭文)

 










無限の扉−夢育みし三津田ケ丘−







無限の扉
 
書名    無限の扉−夢育みし三津田ケ丘−       
編集 広島県立呉三津田高等学校
発行 創立百周年記念実行委員会
発行年月日 平成18年11月18日
頁数      238頁

創立100周年記念第二部「無限の扉を開くために」にでは、古田陽久が参加したパネルディスカッションでの発言内容も収録されています。

          



















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