ウクライナのユネスコ遺産





 ロシア連邦の軍事侵攻によって、ウクライナは危機的な状況にある。長年、「ユネスコ遺産」(「世界遺産」「世界無形文化遺産」「世界の記憶」)を研究してきた観点から、メディアではあまり取り上げられることのないウクライナのユネスコの「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界の記憶」にはどんなものがあるのかを、まず、知ることが大切で、人類の英知を結集して、危機にさらされているウクライナの貴重な自然遺産、有形・無形の文化遺産、文書類などの記録遺産を守りたいものである。

 本稿では、ウクライナとはどういう国なのか、ユネスコとはどの様な国際機関なのか、そして、本題のウクライナのユネスコ遺産、すなわち、世界的に「顕著な普遍的価値」を有する「世界遺産」、グローバル化、担い手の高齢化、後継者難などによって失われつつある「世界無形文化遺産」、われわれ人類にとって忘れてはならない「世界の記憶」にはどの様なものが登録されているのか、一方において、ロシア連邦のユネスコ遺産についても知っておきたい。

 

次に、「戦争」や「紛争」が原因で「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されているアフガニスタン、イラク、シリア、リビアなどの世界遺産の事例をレビューし、武力紛争の際に文化財を保護するため、締約国が、平時において適当な措置をとること、武力紛争の際に文化財を尊重すること等を定めている1954年の「武力紛争の際の文化財保護条約」(ハーグ条約)をリマインドすると共に、今年の第45回世界遺産委員会は、当初、2022619日〜30日にロシア連邦のカザン市で開催される予定であった。議長国がロシア連邦で、議案の一つに、ウクライナの世界遺産を「危機にさらされている世界遺産リスト」への登録の可否も審議する異常な状況から延期せざるを得なくなった。

 

最後に、戦時下におけるユネスコなど国際機関の果たすべき役割について再考する。「人命」と同様に、ユネスコ遺産を守っていく為には、私たちはどうすべきなのか、「ウクライナのボルシチ料理の文化」は2023年の第18回無形文化遺産委員会の候補であったにもかかわらず、202271日にユネスコ本部で開催された第5回臨時無形文化遺産委員会で緊急登録された様に、特に、緊急的な保護措置を機動的に履行できる「危機遺産リスト」や「緊急保護リスト」の緊急登録など弾力的な運用を望みたい。 

 



                             古田 陽久



<参考文献>「世界遺産ガイドーウクライナ編―」 シンクタンクせとうち総合研究機構
         2022年3月31日




















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