2003年も大変,慌しい年になりました。当シンクタンクにとって,この一年の活動を回顧してみると,大変,意義深い年であったように思います。なかでも,国際的な展開に一歩,踏み出したことです。
一つは,ユネスコ本部(パリ)での世界遺産委員会にオブザーバーとして出席できたことです。これまで,議事録等の記録で,会議の様子を知るしか方法がありませんでしたが,世界遺産の登録がどのように議論され決まるのか,その様子を実際,自分の目で見,耳で聴くことを通じて,その大切さを改めて認識することができました。
また,ユネスコ世界遺産センターの所長や副所長とも話をする機会にも恵まれ,そして,2002年にウズベキスタンで開催されたユネスコ行事で知り合いになったパリ本部職員とも旧交をあたためることができました。。それに,訪欧の機会に,スイスのIUCNやパリのICOMOS本部,また,IUCNと同じ場所に居を構えるラムサ−ル条約事務局,そして,ジュネーブにある国際連合欧州本部などの国際機関を見学することができました。
二つは,私どもが2001年9月に出版した「世界遺産Q&A−世界遺産の基礎知識―2001年版」の中国語版が,台湾の行政院文化建設委員会と文化台湾発展協会との共同出版により,現地の世界遺産教育用に出版されたことです。
台湾は,皆様もご承知の通り,中国との間に主権をめぐっての繊細な課題を抱えています。しかしながら,台湾の人々のユネスコ世界遺産に関する学習と研究意欲は,大変,強いものがあります。
いまだ台湾には,ユネスコの世界遺産リストに登録されている世界遺産はありませんが,潜在的に素晴らしい自然環境や文化財が数多く残されており,今後,台湾の動きと中国の対応が注目されるところです。
三つは,中国の重慶市にある西南師範大学からの招聘でした。この大学に,筑波大学の大学院に留学されていた若くて研究熱心な観光地理の先生がおられ,その先生からの要請によるものでした。この先生は,カナダの大学の客員教授もつとめられており,カナダの「国立公園制度」についての著書もあります。どこで見つけられたか,私どもが出版した「世界遺産ガイドー国立公園編―」に大変,興味を示してくれました。
特別講義として,図書館講堂で,「国立公園と世界遺産」について話をしました。定員200名の会場も一杯になり,学生からの熱心な質問も多く,世界遺産保護についての関心の高さを感じました。
また,既に世界遺産になっている重慶市内にある「大足石刻」,それに,これから世界遺産登録をめざす「金仏山」のフィールド・ワークも大変良い経験になりました。
実際に世界遺産の保護を担当している現場の専門家の方々の日々のご苦労,また,これから世界遺産化に取り組む行政関係者の周到な準備と熱心さには,頭が下がる思いがしました。
以上が当シンクタンクの国際的な関わりが進展していくなかでの2003年の主なトピックスです。
私たちの仕事は,グローバルな視点に立っての地味で地道な努力と長い時間を要するものです。しかしながら,「継続は力」で,社会の為に役立つことも多くなってきました。
2003年は,小出版ながら,「世界遺産シリーズ」が11タイトル,「誇れる郷土シリーズ」が4タイトルの合計15タイトルの出版物を発行することが出来ました。ご協力頂いた各位に感謝の意を表したいと思います。
http://www.dango.ne.jp/sri/2003syuppanbutsu.html
2004年は,どんな年になるのでしょうか。戦争のない平和な地球社会にしていかなければなりません。2004年も出来うる限り,時流にそったテーマを選択し,世の中に役立ち信頼される名実あるシンクタンクの舵取りをしてまいりたいと思います。長期的には30年,中期的には10年を視野におき,集大成と後継者の育成も大きな課題です。引き続きご支援をお願い致します。
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シンクタンクせとうち総合研究機構 古田 陽久
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