世界無形文化遺産、日本の「代表リスト」への記載候補として、
「雅楽」、北海道の「アイヌ古式舞踊」など14件を選定。











 2008年7月30日、文化庁は、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づいて、日本の「代表リスト」への記載候補として、「雅楽」、「木造彫刻修理」、北海道の「アイヌ古式舞踊」、京都の「京都祇園祭の山鉾行事」、島根の「石州半紙」など14件を選定した。

 「代表リスト」(The Representative List)は、世界遺産の、いわば、無形文化遺産版である世界無形文化遺産である。外務省との関係省庁連絡会議を経て、正式決定し、提出期限の2008年9月30日までに、ユネスコに提案書類を提出する見通しである。2009年9月に開かれるユネスコの無形文化遺産委員会で、提案通り記載が決まり、世界無形文化遺産として認められる見込みである。

 「代表リスト」は、2003年10月17日のユネスコ総会で採択され2006年4月に発効した無形文化遺産保護条約(Convention for the safeguarding of the Intangible Cultural Heritage)に基づいて作成される。この条約は、無形文化遺産の重要性への認識を高め、多様な文化を尊重することが目的で、2008年6月19日現在の締約国の数は97国、日本は、2004年6月15日、世界で3番目にこの条約を締約した。

 世界無形文化遺産は、世界遺産とは異なり、専門機関による価値の評価は行われず、無形文化遺産保護条約履行の為の案内ガイドであるオペレーショナル・ディレクティブス(Operational Directives,)に基づいて、書類審査のみで、「代表リスト」への記載の可否が決まる。

 また、リストには、「代表リスト」(The Representative List)と「緊急保護リスト」(The Urgent Safeguarding List) の2種類がある。後者は、世界遺産で言えば、「危機にさらされている世界遺産リスト」に該当する。

 日本は、国指定の重要無形文化財、重要無形民俗文化財、選定保存技術の3分野から、300件すべてを最終的に候補として提案する方針である。指定時期が早い順に、分野や地域のバランスを考慮しながら、順次提案していく予定である。人間国宝など指定の対象が個人となっているケースの扱いについては今後検討される。

  無形文化遺産保護条約の発効前に、ユネスコが「人類の口承および無形遺産に関する傑作」の宣言をしている「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、「歌舞伎」の3件は、自動的に、「代表リスト」に記載される。


ユネスコ・無形文化遺産の「代表リスト」への提案候補

【重要無形文化財】

<芸能> 雅楽

<染織> 小千谷縮・越後上布(新潟)

<手漉(てすき)和紙など> 石州半紙(島根)


【重要無形民俗文化財】


<祭礼> 日立風流物(茨城)、京都祇園祭の山鉾行事(京都)

<年中行事> 甑島のトシドン(鹿児島)

<生産・生業など> 奥能登のあえのこと(石川)

<神楽> 早池峰神楽(岩手)

<田楽> 秋保の田植踊(宮城)

<風流> チャッキラコ(神奈川)

<渡来芸など> 大日堂舞楽(秋田)

<語り物など> 題目立(奈良)、アイヌ古式舞踊(北海道)


【選定保存技術】

木造彫刻修理




















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