2019年の回顧と2020年の展望






  各 位

 

 2019年は、当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所にとって、これまで、パラレルに研究を進めてきたユネスコの「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界の記憶」を、「ユネスコ遺産」に総合化、統合化する試みを進化させ、一定の成果をあげられた年だと自己評価しています。

 また、これまでやってきたなかでの隙間のテーマや地域(「仏教関連遺産編」、「カリブ海地域編」、「コーカサス諸国編」、「モンゴル編」)を「世界遺産ガイド」で取り上げました。それに、世界無形文化遺産分野については、これまでのデータブックと共にそれぞれの無形文化遺産の内容をもっと詳しく解説する目的で、「世界無形文化遺産事典」を発刊しました。

 この一年間の特記事項を下記します。
昨年に引続き、総じて、公私にわたり脱皮・変化の一年でした。




<新聞・雑誌記事>

朝日新聞デジタル「パリのノートルダム大聖堂の大火災」(2019年4月16日)
朝日新聞 朝刊 国際面 「心は仏国民と共にある」 ノートルダム大聖堂、再建願う声
(2019年4月16日)
朝日新聞朝刊 文化・文芸欄(2019年8月11日)
北海道新聞「縄文遺跡群 世界遺産候補へ」(2019年9月1日)
朝日新聞デジタル 首里城火災(2019年10月31日)
週刊文春 首里城火災 関連記事2019年117日 発売11月14日号
朝日新聞デジタル 桁違いの寄付集めたノートルダム 首里城再建への教訓(2019年11月9日)

朝日新聞西部本社版(山口・九州・沖縄)朝刊(2019年11月30日)首里城火災1カ月 再建探る


<テレビ出演>

中京テレビ キャッツ(2019年4月16日)
TBSテレビ「あさチャン!」
(2019年4月17日)
テレビ朝日スーパーJチャンネル土曜(2019年4月17日)
TBSテレビ 「あさチャン!」首里城火災 (2019年11月1日)



<講演>

2019年3月20日 呉市立両城中学校での講演 演題 「夢への挑戦 志で未来を開け」 
2019年7月14日 第67回広島市身体障害者福祉大会で講演 
演題 「世界遺産の最近の話題について」



<出版活動>

 紙媒体での出版は、企画、取材、編集、整理、組版、印刷、製本、流通、販売と読者に届くまでに、多くの手間と多くの方々のご協力がなければ成り立ちません。デジタル化の進行で、出版流通にも大きな変化が起こりつつあります。
 
 本が売れない時代になりました。パソコン、インターネット、携帯電話などの普及で、ニュースなど様々な情報を新聞や書籍を読まなくても調べることが出来る様になっているからです。


 本が売れない時代に一般受けしない本を小出版するのは大変勇気がいります。しかし、大学の教科書等で、毎年、採用してくださる先生方もおられます。これまで3度、<出典>として、大学や高校の入学試験問題に出題された作品もありますので、大変気をつかいます。

 2019年の出版実績は、11タイトル、通算233タイトルになりました。

 生涯目標の200タイトルは、3年前に達成しましたが、より良い作品を創造していく為には、玉石混淆ではあっても、より多くのものを実際に自分自身の眼で見て、その違いや共通点をよく理解することが大切だと考えています。


   世界遺産ガイド-仏教関連遺産編-       ISBN978-4-86200-223-5 (2019年2月)
  全国学校図書館協議会選定図書

   世界無形文化遺産データ・ブック  2019年版  ISBN978-4-86200-224-2 (2019年5月)
  全国学校図書館協議会選定図書

  世界無形文化遺産ガイド 2019年版         ISBN978-4-86200-225 -9 (2019年5月)
  全国学校図書館協議会選定図書

   世界遺産ガイド-カリブ海地域編-         ISBN978-4-86200-226-6(2019年6月)
  全国学校図書館協議会選定図書

   世界遺産ガイド-コーカサス諸国編-       ISBN978-4-86200-227-3(2019年6月)
  全国学校図書館協議会選定図書

  世界遺産データ・ブック -2020年版-       ISBN978-4-86200-228-0 (2019年9月)
  全国学校図書館協議会選定図書

  世界遺産事典 -2020年版-            ISBN978-4-86200-229-7 (2019年9月)
  全国学校図書館協議会選定図書

  世界遺産ガイド -日本編-2020改訂版      ISBN978-4-86200-230-3 (2019年9月)
  全国学校図書館協議会選定図書

  誇れる郷土データブック -2020年版-       ISBN978-4-86200-231-0 (2019年12月)


  世界遺産マップス -2020年版-          ISBN978-4-86200-232-7 (2019年12月)


  世界遺産ガイド -モンゴル編-            ISBN978-4-86200-233-4 (2019年12月)


<世界遺産写真展>

第一回目は、2010年に岩手県の一戸町で開催、
第2回目は、2011年4月から6月に大阪府堺市の大阪府立大型児童館ビッグバンで、
第3回目は、2011年11月3日(文化の日)に、社団法人射水青年会議所の主催で、富山県の射水市高周波文化ホール(旧新湊中央文化ホール)で、
第4回目は、2011年11月に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県・宗像市・福津市)の主催で、アクロス福岡2階の交流ギャラリーで、
第5回目は、2012年4月に、私の母校である「呉市立両城小学校」(呉市)で開催することができました。
第6回目は、2013年11月に、一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の主催で、アーツ千代田3331(東京都千代田区)で実施された「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」の世界遺産に関する総論解説の部分で、解説パネルの部分出展となりました。
第7回目は、2015年8月に、公益財団法人新潟県国際交流協会の主催で、新潟県国際交流プラザ(新潟県新潟市)実施された「世界遺産写真展」です。
第8回目は、2016年3月に、雛祭り普及協会の主催で、広島市西区区民センター(広島市西区)実施した「日本の世界遺産写真展」です。

 これらは、行政、企業、学校等との協働活動の成果で、ニーズがあれば、今後も継続していきたいと考えていますので、ご活用ください。


<国際会議への参加>

 世界遺産関係は、昨年2018年のバーレンのマナーマに引き続いて、今年2019年は、第43回世界遺産委員会バクー会議(アゼルバイジャン)に参加しました。「百舌鳥・古市古墳群」(Mozu-Furuichi Kofun Group: Mounded Tombs of Ancient Japan)が登録されました。



<海外視察と出張>


 海外の世界遺産、世界無形文化遺産、世界の記憶の視察です。今年は、6回、海外に出ました。1月にヴィエトナム経由でミャンマー(旧ビルマ)4月にカナダ経由でキューバ、5月にフィリピン、6月にカタール経由でアゼルバイジャン、10月に中国経由でモンゴル、11月に旧満州の中国<長春、瀋陽、ハルビン>の9か国です。

 2020年のお正月は、イタリアの南イタリア・シチリア島で過ごします。既刊の「世界遺産ガイド―イタリア編―」の改訂作業を視野に、6つの世界遺産、シチリア島の「神殿の谷」と「ノルマン王宮」、それに、「ポンペイ遺跡」、「アルベロベッロ」、「マテーラ」、「アマルフィ海岸」を訪問します。

 2020年は、これまでまだ行ったことのない国々のうち、比較的、治安等に問題のない地域への旅を考えています。例えば、バルカン諸国(アルバニア、セルビア、アルバニア、マケドニア、コソボなど)、「ヨーロッパの秘境バルカン半島の美しい街々と歴史・文化を訪ねる/気軽にバルカン半島周遊8日間」など、アセアン諸国で、まだ行ったことがない、ラオスとブルネイなどです。

 世界遺産の数が上位の国で、これまで特集をやっていない、イランとインド、治安面などの不安があります。


<国内視察>

 
これまで行く機会のなかった広島から伊豆大島。伊豆大島と房総半島・伊豆半島3つの花咲く半島めぐりを楽しみにしています。愛唱歌である「波浮の港」「踊子」の舞台であるだけに感慨深いものになるでしょう。

 また、2020年の日本からの世界遺産の候補の構成資産である奄美大島と徳之島へも1月下旬に行きます。広島からは、なかなか行きにくいのですが、なんとかめどがたちました。


 
<国内外からのホームページへのアクセス数>

 1997515日に開設した私共のホームページ「世界遺産と総合学習の杜」。国内外からのアクセス数は、通算約130万。昨年のこの頃が約129万でしたので、この1年間のアクセス数は、約1万、1日当たり約27ということになります。今後もコンテンツの充実に努め、役立つ情報源にしていきたいと思います。



<個人関係>

<随想>

〇グローバルな「世界観」の醸成と人生哲学(呉三津田ケ丘同窓会 会報 2019年8月10日)
〇随想「歌」「経」「旅」(日商岩井社友会誌『躍』 2019年12月号)

<世界遺産の西本願寺から院号を授与>

 2016年12月4日、京都の「西本願寺」(ユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つ)の阿弥陀堂で「帰敬式」を受式し「法名」をいただきました。

 私の「法名」は「釋求心」(しゃくぐしん)です。「法名」とは、仏法に帰依し釈迦の弟子となった人の名前です。また、「院号」とは、宗門や本願寺の護持発展に貢献した人、または、宗門もしくは社会に対する功労が顕著であると認めらた人に授与されます。

 私の院号は、「陽光院釋求心」(ようこういんしゃくぐしん)、名に恥じない功徳を積んでいかなければと考えています。

 こんなこともあって、昨年、呉の菩提寺の総代に選任され、ご奉仕している。また、この寺のコーラス部にも入り、月一度ですが、「仏教讃歌」を歌っている。「仏教学」は難解ですが、まずは、歌からのアプローチです。

 また、私の専門である「世界遺産学」からの「仏教」へのアプローチ、世界遺産に登録されている仏教関連遺産は40~50ある。これらを、ミャンマーやスリランカなどへの取材等も踏まえて、「世界遺産ガイド―仏教関連遺産編―」として発刊しました。

 「仏教学」は、更に深めていきたいと考えています。


<防災士>

 私が住む広島の美鈴が丘緑街区の町内会長からの勧めもあって、「防災士」の資格を広島市で取得。世界遺産の仕事においても役立っています。

 防災士とは、特定非営利活動法人日本防災士機構による民間資格です。 機構が定めたカリキュラムを防災士教本による自宅学習(履修確認レポート)と会場研修講座の受講で履修し、履修証明を得て資格取得試験に合格し、消防本部または日本赤十字社等の公的機関が主催する「救急法等講習」、「普通救命講習」、「上級救命講習」を受講して、その修了証または認定証を取得した者に認定される。防災士証の有効期限や写真の書換え更新はなく終身の民間資格(資格称号)です。


facebook


 私事では、20114月に還暦を迎え、心機一転、新しい取組みを始めました。なかでも、facebookを通じて、旧友、社友、校友、知人とのネットワークの構築と、これまでの自分史をタイムラインで整理することを始めました。開設後約8年が経過し、コンテンツも充実してきましたので、友達の輪をもっともっと広げていきたいと思います。

 【facebookでの自己紹介】

世界の68か国、約300の世界遺産地を歴訪、著書に「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界の記憶」の各データ・ブックなど、全国各地での講演、テレビ出演も多数。
HP:「世界遺産と総合学習の杜」



<コーラス>

 4年前の
2015年以来、コーラスやカラオケも始めました。歌はそんなに上手くありませんが、音楽のリズムは楽しいものです。日本の唱歌、昭和歌謡など「日本の歌」を中心に歌える歌100曲をめざしています。

 「日本の歌」と言えば、昔、中央アジアのウズベキスタンのボイスンというところに行った際に、現地の人と交流、「日本の歌」を歌ってくれと言われた時に戸惑ったことを思い出します。

 現在、広島市東区区民センターでの月5回、広島市立美鈴が丘公民館での月2回の歌の練習をベースに、イベントなどでの発表も励みになります。ピアノやフルート等の楽器演奏とのコラボレーションも良いものです。

 「歌」は、広島、呉、竹原の仲間へと広がっています。知らない地、知らない人たちとも「歌」は共通の言語の様に共有できます。


 2020年も時間の許す限り、地球的、人類的な視野に立って、世界の時流を読みつつ、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを後継者と共に、世界遺産総合研究所を中心に展開してまいります。

 長期的には5年、中期的には3年、短期的には1年を視野に入れて、これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と利活用、応用と発展が課題ですが、私の後継者の育成も大きな課題です。

 昨年も書きましたが、世界の各地を歩いてみて思うことは、ここ20年、日本の国力や国際競争力が急速に低下している事を色々な面で感じてきました。政治家や当該分野の指導者の責任かもしれませんが、あらゆる分野において、相当、気を引き締めていかないと、国力や国際競争力は、低下していくばかりです。

  国家とは何なのか、少子高齢化・人口減少対策、危険性のないエネルギー政策への転換、尖閣諸島、竹島、北方領土などの領土問題、国防のあるべき姿、国家や地方の財政の健全化、国際援助の見直し、政権を担う当事者は、もっと真摯に真剣に取り組まないと、わが国は取り返しのつかない事態に陥ることを大変憂慮しています。

 団体主義的風土が陥りやすい意思決定のメカニズムの弊害が様々な局面で露呈、右往左往し迷走してきたようにも思えます。


 しかし、安倍政権になってからは、安心感が出てまいりましたが、景気を回復させ安定、成長型の長期政権を望みたいと思います。地方あっての中央ですが、地方の創成と再生は、喫緊の課題ですが、私のライフワークである「ユネスコ遺産」は、地方の活性化や地域の振興を図っていくのに、普遍的で効果的なテーマです。

  さて、世界遺産ですが、2020年の第44回世界遺産委員会福州会議(中国)では、日本からは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island, the northern part of Okinawa Island and Iriomote Island ) が新登録の候補にあがっています。

 世界無形文化遺産については、第15回無形文化遺産委員会が、2020年11月30日から12月5日まで、ジャマイカの首都キングストーンで開催されます。

  世界遺産条約の目的は、かけがえのない世界遺産を、あらゆる脅威や危険から守っていくこと、また、その為の国際的な援助の体制をつくっていくことも大切なのですが、文化財の保存や修復など理工学的なアプローチに傾斜し過ぎてきた様に思います。

  自然遺産や文化遺産への脅威や危険、これらへの対策については、理工科学的な知見も重要なのですが、人為的な脅威や危険については、政治や経済など社会科学的な見地からのアプローチが最も重要であり、地球と人類の遺産を守っていく仕組みやメカニズムなどは既成の概念や価値観にとらわれないパラダイムの転換が求められているのかもしれません。

  2020年も、異文化である「洋の文化」、日本らしい「和の文化」、そして、「和洋折衷の文化」などその違いや類似する点などを認識できる文化空間を充実させ、固定観念や先入観にとらわれない「交流」と「対話」を重ねていきたいと考えています。

  「世界の記憶」(旧世界記憶遺産)については、20181月に、データブックの改訂版である「世界の記憶データ・ブック」(世界記憶遺産データ・ブックから改名)の20172018年版を発刊しました。類書が無いに等しいので、根強いものがあります。

  また、2015年7月に幻冬舎から「世界の記憶遺産60」を出版したことでもあり、人間、人類、世界、地球などの「記憶」や「記録」についての調査研究を、今後も深化させ、充実させていきたいと考えています。



<2020年12月の出版活動30年に向けて>

 1990年12月に「都市の再生戦略-創造的な都市づくり・街づくりへの指針-」を創刊以来、2019年9月の「世界遺産ガイド―日本編―2020改訂版」の発刊で、通算230冊の本を世に送り出してきました。

 この間、メディア環境も大きく変化し、電子出版などデジタル化も進行しています。

 この「出版活動30年の歩みに向けて」は、2020年12月の出版活動30年に向けて、これまでの当シンクタンクの出版の歩みを記録に残す為に企画したもので、本の表紙も、いずれ展示物にすることを検討しています。

 本が売れない出版業界のなか、発行部数が少ないこともあって、今では、絶版、希少本になっているものもあります。

 しかし、「世界遺産シリーズ」の「世界遺産入門」と「世界遺産ガイド」、「ふるさとシリーズ」の「誇れるガイド」は、大学、高校、中学などの入学試験問題の出典に取り上げられたこともあります。

 また、これまでの調査研究の成果を、国内外の大学等の「授業」や各地での「講演」など学校教育や社会教育にも反映してきました。

 激変するメディア環境のなか、全ての既刊の出版物、それに、製作の過程で蓄積してきた画像、地図、テキストなどの膨大なコンテンツを電子化し、データベース化もしていますので、後世においても、「1990年代~2010年代の世界の重要な自然と文化の記憶」の一つとして活用されるように、記録の保存と整備を進めていきます。

 今後も、これらが情報源や底本となるように、他の媒体等との連携を進めてまいりますと共に古田陽久の後継者たちの全国的な発掘と育成に努めていきたいと考えています。

 これまでの既刊本は、すべて、国立国会図書館(National Diet Library)の東京本館<東京都千代田区永田町>や関西館<京都府相楽郡精華町>に所蔵されていると共に「古田記念館」(設立準備中)でも記念に残したいと考えています。

 身近な公共図書館や学校図書館、各種資料館等でも閲覧できるように、皆さまの、ご支援、リクエストをお願い致します。

  なにはともあれ、心身共に健康が第一、無理をせず、自然体、ボランティア精神で、報恩謝徳につとめてまいります。また、何はともあれ、後継者を立派に育成し継承していくことが大きな課題です。引続きご支援をお願い致します。





                                                     20201月1日  古田 陽久



 
 


















世界遺産と総合学習の杜に戻る
出版物ご購入のご案内に戻る
出版物のご案内に戻る
シンクタンクせとうち総合研究機構のご案内に戻る
21世紀総合研究所のご案内に戻る
世界遺産総合研究所のご案内に戻る
世界遺産情報館に戻る 
誇れる郷土館に戻る