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2015年は、当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所にとって、これまで、パラレルに研究を進めてきたユネスコの「世界遺産」、「世界無形文化遺産」、「世界記憶遺産」を、「ユネスコ遺産」に総合化、統合化する試みに、一定の成果をあげられた年だと自己評価しています。この一年間の特記事項を下記します。
一つは、テレビとラジオへの出演、新聞社からの取材です。特に、ニュースについては、速報性で勝るテレビやラジオの威力を感じます。また、私事ではありましたが、昨年2014年4月5日に放送された、NHK総合「ウイークエンド関西」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~、NHK総合「おはようちゅうごく」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~、NHK総合「おはよう四国」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~、NHK総合「おはようサタデー九州沖縄」「西日本の旅」レンガが息づく町~広島県呉市~、そして、4月11日に全国放送されたNHK総合「ゆうどき」<行ってみたい>『レンガが息づく港町(広島県呉市)』は、大きな反響を今年2015年にも持ち越し、多くの方々からお便りをいただきました。
<TVへの出演>
●TBSテレビ「ひるおび」 『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』(2015年7月29日)
●テレビ朝日「グッド!モーニング 『「世界遺産」に黄色信号? 韓国 ”切り崩し工作” 明治日本の産業革命遺産』」 (2015年6月12日)
●テレビ朝日「スーパーJチャンネル」『世界遺産・三保松原・観光客増で…羽衣の松がピンチ』
(2015年5月11日)
●関西テレビ「ゆうがたLIVEワンダー うぃ~くワンダー『百舌鳥・古市古墳群』」(2015年5月8日)
●テレビ朝日「グッド!モーニング 『明治日本の産業革命遺産』」 (2015年5月6日)
●TBSテレビ「NEWS23『明治日本の産業革命遺産』」(2015年5月5日)
●TBSテレビ「Nスタ ニュース『明治日本の産業革命遺産』」(2015年5月5日)
●TBSテレビ「ひるおび」 『明治日本の産業革命遺産』(2015年5月5日)
●テレビ朝日「ワイド!スクランブル 『明治日本の産業革命遺産』」 (2015年5月5日)
<ラジオへの出演>
●Tokyo FM「TIME LINE」『フォーカス』世界記憶遺産をめぐる、表と裏 (2015年10月15日)
<新聞・雑誌記事>
●週刊新潮(新潮社)「「世界遺産」10年の根回しと韓国の破壊工作」(2015年5月21日号<5月13日発売>)
●女性セブン(小学館)「世界遺産で笑う人、泣く人」(2015年6月4日号<5月21日発売>)
●中国新聞朝刊「原爆文学 記憶遺産化探る」(2015年6月14日)
●週刊女性(主婦と生活社)<特集>「その道のプロが教えるアレ」「NEXT世界遺産の地」(2015年6月30日号<6月16日発売>)
●毎日新聞朝刊広島版 原爆文学:「強みある」 記憶遺産登録へシンポ (2015年6月16日)
●朝日新聞朝刊 文化の扉 「負の世界遺産」(2015年6月21日)
●日本経済新聞朝刊 広告「世界の記憶遺産60」<幻冬舎>(2015年7月11日)
●毎日新聞朝刊 広告「世界の記憶遺産60」<幻冬舎>(2015年7月12日)
●週刊新潮(新潮社)この期に及んで世界遺産登録に異を唱える「寺脇研」と朝日新聞(2015年7月30日号<7月23日発売>)
●東京新聞朝刊 こちら特報部 いま学びたい「記憶遺産」 「教科書に載らない歴史」に迫る(2015年7月30日)
●朝日新聞朝刊 教育 世界遺産 大学で「体感」 地元の人の「価値共有」が大切(2015年8月1日)
●週刊朝日≪話題の新刊≫世界の記憶遺産60(2015年8月14日号<8月7日発売>)
●読売新聞朝刊 露が「抑留」資料取り下げ要請 日本は応じぬ姿勢(2015年10月18日)
●中国新聞朝刊 読書 郷土の本 「世界の記憶遺産60」(幻冬舎) 記憶遺産紹介 多様性に魅力(2015年10月18日)
●月刊文藝春秋 南京が「世界遺産」ユネスコはおかしい ノンフィクション作家 奥野修司(2015年12月号<11月10日発売>)
二つは、出版活動です。紙媒体での出版は、企画、取材、編集、整理、組版、印刷、製本、流通、販売と読者に届くまでに、多くの手間と多くの方々のご協力がなければ成り立ちません。デジタル化の進行で、出版流通にも大きな変化が起こりつつあります。本が売れない時代になりました。パソコン、インターネット、携帯電話などの普及で、ニュースなど様々な情報を新聞や書籍を読まなくても調べることが出来る様になったからです。
本が売れない時代に一般受けしない本を小出版するのは大変勇気がいります。しかし、大学の教科書等で、毎年、採用してくださる先生もおられます。これまで3度、<出典>として入試問題に出題された作品もあり、一次情報としての正確さを期しています。今年の実績は、8タイトル、通算197タイトル(達成率 98.5%)。目標の200タイトルまで、あと3タイトル。達成までには、数年はかかりそうですが、テーマを厳選していきたいと思います。より良い作品を創る為には、玉石混淆のより多くのものを自分自身の眼で見、その違いを理解することに留意しています。
●世界無形文化遺産データ・ブック-2015年版- ISBN978-4-86200-190-0 (2015年3月)
●世界遺産入門-平和と安全な社会の構築- ISBN978-4-86200-191-7 (2015年5月)
●誇れる郷土データ・ブック-地方の創生と再生-2015年版 ISBN978-4-86200-192-4 (2015年5月)
●世界遺産ガイド-日本編-2016改訂版 ISBN978-4-86200-193-1 (2015年9月)
●世界遺産データ・ブック-2016年版- ISBN978-4-86200-194-8 (2015年9月)
●世界遺産事典-1031全物件プロフィール-2016改訂版 ISBN978-4-86200-195-5 (2015年9月)
●世界記憶遺産データ・ブック-2015~2016年版- ISBN978-4-86200-196-2 (2015年12月)
●世界遺産ガイド-危機遺産編-2016改訂版 ISBN978-4-86200-197-9 (2015年12月)
特に、「世界遺産入門」については、1998年4月に「地球と人類の至宝」、2003年2月に「過去から未来へのメッセージ」、2007年4月に「ユネスコから世界を学ぶ」を副題に取り上げてきました。本年は、戦後(被爆)70周年、ユネスコ憲章採択70周年、改めて「平和」と「安全」な社会の大切さを再認識する節目の年にもなり、良い本になったと自負しています。
昨年、お話をいただき、1年以上の歳月を要しましたが、幻冬舎からの本がやっと、日の目をみました。「世界の記憶」(ユネスコ記憶遺産、或は、世界記憶遺産)を研究分野に加えることについては、約5年前の着手時には逡巡するものがありましたが、結果的には良かったと思っています。
●世界の記憶遺産60 ISBN978-4-344-02784-8 (2015年7月)
三つは、「世界記憶遺産の旅」というテーマで、ユネスコの世界記憶遺産に登録されている32の世界記録遺産を紹介する連載の機会に恵まれたことです。この作業は結構大変で、特に、それぞれの文書等が所蔵されている文書館や博物館から許諾を得て写真等を送ってもらうことに難儀しました。また、海外に出た時には、アポイントを取って当該機関を訪問など取材等も行いました。
四つは、講演とシンポジウムです。
●1月 にっぽん丸 東南アジアクルーズ 船内での世界遺産講座「①マカオなど近年の世界遺産の特色と魅力」
●1月 にっぽん丸 東南アジアクルーズ 船内での世界遺産講座「②フエの建築物群などベトナムの世界遺産の魅力と特質」
●1月 にっぽん丸 東南アジアクルーズ 船内での世界遺産講座「③世界自然遺産・キナバル公園とプエルト・プリンセサ地底川国立公園の魅力と特質」
●1月 にっぽん丸 東南アジアクルーズ 船内での世界遺産講座「④これからの世界遺産の話題あれこれ」
●2月 広島県経営者協会設立記念講演会「世界遺産の話題あれこれ」
●3月 にっぽん丸 小笠原と硫黄島クルーズ 船内での世界遺産講座「①世界自然遺産・小笠原諸島の特質と魅力」
●3月 にっぽん丸 小笠原と硫黄島クルーズ 船内での世界遺産講座「②最近の世界遺産の話題あれこれ」
●5月 台湾・金瓜石鉱山と関連集落 「日本の世界遺産などユネスコ遺産の近況」
●6月「広島の被爆作家(栗原・原・峠)による原爆文学資料を世界記憶遺産に」(主催:広島文学資料保全の会)
五つは、国際会議への参加です。世界遺産関係は、昨年のカタールのドーハに引き続いて、第39回世界遺産委員会ボン会議(ドイツ)に参加しました。
六つは、海外の世界遺産、世界無形文化遺産、世界記憶遺産の視察です。今年は、3回、海外に出ました。1月に中国(香港)、ヴィエトナム、マレーシア、フィリピン、6月にドイツ、11月にオランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク 、フランスの10か国です。
1月13日から20日間、「東南アジアクルーズ」の船旅でした。いずれも、船内での講演の仕事ですが、空路や陸路ではなかなか行けない世界遺産地に行けるので、大変嬉しい仕事の一つですが、準備が大変でした。
6月27日から7月7日まで、ドイツのボンは真夏、東京は梅雨であった。ボンは、かつて、西ドイツの首都であった。人口は、現在約30万人であるが、作曲家ベートーヴェンの生誕地・シューマンの終焉の地としても知られている。
今回の旅の目的は、ユネスコの第39回世界遺産委員会での「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の審議を見守ることと、コブレンツ、ブリュール、ケルン、アーヘン、エッセンなど周辺の世界遺産都市での世界遺産の保護管理状況、それに世界遺産を生かした教育、観光、まちづくりへの取組みのグッド・プラクティスを視察・発見することです。
日本との時差は、サマータイムで7時間(マイナス)、夜の10時くらいまで昼の様に明るく行動し易いのは大きなメリットであるが、気温が35度くらいと今年の夏はとにかく暑かったです。
「明治日本の産業革命遺産」の審議は、現地時間7月4日午前10時30分頃(日本時間7月4日午後5時30分頃)の見通しだったが、予断は許されない状況。戦々恐々、一時的には取り繕っても、歴史認識の違いは想像以上に大きく溝は深いという印象でした。
残念ながら現地時間7月5日午後3時以降に持ち越される見通しとなりました。
仕方なく帰路へ、フランクフルトの空港でWebcastを通じて会議の様子を見守りました。テレビへの出演依頼が2件来ていたが、帰国中の機中であった為、お断りする口実ができたので、結果的にはよかった。(事が事だけに軽率な発言は慎まなければならないと思いました。)
11月の北欧などヨーロッパ5か国 8泊9日の旅の主目的は、これまで行ったことのない北欧のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3つの国々を訪問することでした。往路は、オランダのコペンハーゲン経由、復路は、フランスのパリ経由でした。テロに遭遇しないか大変不安であったが、難なく安全に帰国できたことに感謝です。
ロイヤル・コペンハーゲン(ケブンハウン)、アンデルセン誕生の地・オーデンセ、ノーベル財団の本拠地があるストックホルム(平和賞の本部はオスロ)、ムンク美術館のあるオスロ、世界最大・最深のソグネ・フィヨルド、世界遺産・ベルゲンのブリュッケン地区、それに国立ハンセン病資料館など視野も大きく広がりました。
北欧にあるユネスコ遺産(世界遺産、世界無形文化遺産、世界記録遺産)は、数は少ないが、個性的なものが多いので楽しみにしていました。
北欧も、その自然環境、歴史文化の特色、特質、特徴を理解できるようになるまでには、地道な努力と時間を要します。
比較地理、比較文化の観点から世界的な視野を広げ、同質性、異質性、独創性など国際評価の手法の技を向上させていきたいと思います。
今回、特に感じたのは、いずれ、日本も避けては通れない、難民など移民の受入れ問題だ。また、北欧の国々の物価が異常に高いのにも驚きました。
航空会社の選択と乗継ぎ時間を上手く利用できました。通算約60か国、約300の世界遺産地を訪問したことになります。
同じ世界遺産地等でも、春、夏、秋、冬の季節が異なる時期では、まちの風景や行事にも違いがあります。また、「ヨーロッパ」と「アジア」の文化の比較、それに、世界遺産の数が上位にある国、イタリア、中国、スペイン、フランス、ドイツ、メキシコ、インド、英国、ロシア連邦、米国の世界遺産の保護管理システムの研究を深化させています。
七つは、国内では、2015年3月29日~4月1日 春の九州・山口の文化財と桜を観る3泊4日の旅 デスクワークの仕事が大詰めに来るとパソコンと原稿を持参して旅に出ることがあります。視野を固めない為、視点を敢えて変えてみます。そして、今回の九州・山口への旅が始まりました。
慶應義塾の創始者、福沢諭吉(享年66歳)が育った中津の旧居。明治維新をはさんで、江戸時代と明治時代を33年ずつ生きた。
そして、小さい時に、親父に連れられて来た宇佐神宮、少しずつ、記憶がよみがえってきた。国東半島を背景に世界遺産登録をめざす運動を地道に継続しています。
世界農業遺産、それに、国の重要文化的景観に選定されている「田染荘」もなるほどなと思いました。天領だった日田の豆田町の重伝建を活かした「雛祭り」などのイベントも印象的でした。
下関まで戻ってきた。せっかくの機会なので、山陰本線沿いに北上、親父の故郷、長門・萩経由で、小郡に南下し、広島に帰ることにしました。それにしても、山口県は、偉大な政治家など歴史的人物の宝庫だ。走行距離 875km 楽しかったです。
2015年9月6日~-8日 熊本・天草諸島と福岡・三井三池炭鉱関連遺産群を巡る2泊3日の旅、青春18切符の5枠のうち3枠が余っている為、熊本まで遠出することにしました。スローな旅ですがが、車中、いろいろな話ができるので、気分転換にはなります。
二日目は、レンタカーで、天草諸島方面へ。三角西港(熊本県宇城市)と崎津教会(熊本県天草市)を訪問するのが目的でした。
三日目は、福岡県大牟田市に移動し、熊本県荒尾市にもまたがる三池炭鉱関連遺産群を視察した。初日に下見をしていたので、気は楽でした。
四国遍路の第24番 最御崎寺(高知県室戸市)、第25番 津照寺(高知県室戸市)、第26番 金剛頂寺(高知県室戸市)、第27番 神峰寺(高知県安田町)、第38番 金剛福寺(高知県土佐清水市)、第44番 大宝寺(愛媛県久万高原町)、第45番 岩屋寺(愛媛県久万高原町)、第60番 横峰寺(愛媛県西条市)、第66番 雲辺寺(香川県三好市)など多様なポテンシャル・サイトを回りました。
2015年10月5~13日、北海道・北広島市での「おためし移住体験」8泊9日の旅、日本国内は、ほぼ隈なくまわってきたが、今回は、明治時代に広島から北海道に開拓移民した人たちの労苦の足跡をたどってみたいと思い、8月に北広島市の「おためし移住体験」に応募しました。
札幌市に隣接している北広島市は、明治15年に、広島市南区段原出身の和田郁次郎が、札幌郡月寒村(のち豊平村、現在の札幌市豊平区ほか)の野幌原野を選定、輪厚川筋の寒冷かつ巨木が繁り熊の住む原野を拓き新天地開拓を決意、官許を得てここを「広島開墾」とし入植、明治17年に、広島県人25戸103人が集団移住し開拓、北海道広島村(現・北広島市)を創始しました。
札幌農学校の初代教頭であったクラーク博士が1期生との別れの際に、札幌郡月寒村島松駅逓所(現在の北広島市島松)で発したとされる名言「ボーイズ・ビー・アンビシャス」"Boys, be
ambitious!"”ゆかりの地でもあります。 レンタカーでの総走行距離約900km、8泊9日と長いようで短い、短いようで長い滞在であったが、新たな発見も含めて貴重な体験ができました。この様な移住体験を海外でもできればと思います。楽しかったです。感謝。
八つは、これまでに撮りだめてきた世界遺産の写真を一般の方々に公開する「世界遺産写真展」です。
第一回目は、2010年に岩手県の一戸町で開催、
第2回目は、2011年4月から6月に大阪府堺市の大阪府立大型児童館ビッグバンで、
第3回目は、2011年11月3日(文化の日)に、社団法人射水青年会議所の主催で、富山県の射水市高周波文化ホール(旧新湊中央文化ホール)で、
第4回目は、2011年11月に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議(福岡県・宗像市・福津市)の主催で、アクロス福岡2階の交流ギャラリーで、
第5回目は、2012年4月に、私の母校である「呉市立両城小学校」(呉市)で開催することができました。
第6回目は、2013年11月に、一般社団法人日本から台湾の世界遺産登録を応援する会の主催で、アーツ千代田3331(東京都千代田区)で実施された「知られざる台湾世界遺産候補地の魅力展」の世界遺産に関する総論解説の部分で、解説パネルの部分出展となりました。
第7回目は、2015年8月に、公益財団法人新潟県国際交流協会の主催で、新潟県国際交流プラザ(新潟県新潟市)実施された「世界遺産写真展」です。これらは、行政、企業、学校との協働活動の成果で、ニーズがあれば、今後も継続していきたいと考えています。
九つは、1997年5月15日に開設した私共のホームページ。国内外からのアクセス数は、通算約122万。今後もコンテンツの充実に努めてまいります。
私事では、2011年4月に還暦を迎え、心機一転、新しい取組みを始めました。なかでも、facebookを通じて、旧友、社友、校友、知人とのネットワークの構築と、これまでの自分史をタイムラインで整理することを始めました。開設後約3年が経過し、コンテンツも充実してきました。
また、コーラスやカラオケも始めました。歌はそんなに上手くありませんが、音楽のリズムは楽しいものです。月2回の歌の練習、イベントなどでの発表も励みになります。ピアノやフルート等の楽器演奏とのコラボレーションも良いものです。
さて、2016年は猿年、果たしてどんな年になるのでしょうか。
2016年も時間の許す限り、地球的、人類的な視野に立って、世界の時流を読みつつ、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを世界遺産総合研究所を中心に展開してまいります。長期的には10年、中期的には5年を視野に入れて、これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と利活用、応用と発展が課題です。
昨年も書きましたが、世界の各地を歩いてみて思うことは、ここ10年、日本の国力や国際競争力が急速に低下している事を色々な面で感じてきました。政治家や当該分野の指導者の責任かもしれませんが、あらゆる分野において、相当、気を引き締めていかないと、国力や国際競争力は、低下していくばかりです。
国家とは何なのか、少子高齢化・人口減少対策、エネルギー政策の転換、尖閣諸島や竹島などの領土問題、国防のあるべき姿、国家の財政の健全化、国際援助の見直し、政権を担う当事者は、もっと真摯に真剣に取り組まないと、わが国は取り返しのつかない事態に陥ることを大変憂慮しています。団体主義的風土が陥りやすい意思決定のメカニズムの弊害が様々な局面で露呈、右往左往し迷走してきたのも事実です。
しかし、安倍政権になってからは、安心感が出てまいりました。景気を回復し安定、成長型の長期政権を望みたいと思います。地方あっての中央ですが、地方の再生と創生は、喫緊の課題ですが、「ユネスコ遺産」は、地方の活性化や地域の振興を図っていくのに、有効的です。
さて、世界遺産の話題に戻すと、2016年の第40回世界遺産委員会イスタンブール会議では、日本の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と「国立西洋美術館」を含む「ル・コルビュジエの建築作品」(フランスの推薦枠)の2件が候補になっています。一方、第11回無形文化遺産委員会会議アジスアベバ会議では、日本の「山・鉾・屋台行事」が候補になっています。世界記憶遺産は、2年毎の選定なので、2016年の選定はありません。
世界遺産条約の目的は、かけがえのない世界遺産を、あらゆる脅威や危険から守っていくこと、また、その為の国際的な援助の体制をつくっていくことも大切なのですが、文化財の保存や修復など理工学的なアプローチに傾斜し過ぎている様に思います。
自然遺産や文化遺産への脅威や危険、これらへの対策については、科学的な知見も重要なのですが、人為的な脅威や危険については、政治や経済など社会科学的な見地からのアプローチが最も重要であり、地球と人類の遺産を守っていく仕組み、メカニズムなどパラダイムの転換が求められています。
2015年も、異文化である「洋の文化」、日本らしい「和の文化」、そして、「和洋折衷の文化」などその違いや類似する点などを考える文化空間を充実させ、固定観念や先入観にとらわれない「交流」と「対話」を重ねていきたいと考えています。
なかでも、「和の文化」については、失われつつある日本の節句文化、すなわち、七草の節句(人日の節句)、桃の節句(ひな祭り)、菖蒲の節句(端午の節句)、笹の節句(七夕の節句)、菊の節句(重陽の節句)の復興、復活を望むものであり、全国各地の節句文化にかかわる行事、歳時記、風物詩などの研究を深化させていきたいと思います。なかでも、「ひな祭り」と「鯉のぼり」については、日本へ来られる外国人の方にお見せできるお手本となるものを発見したいと考えています。
また、「世界記憶遺産」については、2015年12月に、データブックの改訂版の2015~2016年版を発刊したことでもあり、人間、人類、世界、地球などの「記憶」や「記録」についての調査研究も深化させて、充実させたいと考えています。
なにはともあれ、健康が第一、無理をせず、自然体で事に臨んでいきたいものです。引き続きご支援をお願い致します。人生は、「旅」や「遍路道」にたとえられます。
合間を見て、少しずつ回ってきた四国のお遍路さん、88か寺の霊場のうち、これまでに、87か寺(進捗率 98.86%)を回ってきました。残すところ、第12番 焼山寺(徳島県神山町)の1か寺になりました。
2015年12月吉日
古田 陽久
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