2006年の回顧と2007年の展望










 

 各 位



 2006年も大変,慌しい年になりました。当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所にとって,この一年の活動を回顧してみると,大変,意義深い年であったように思います。

 一つは,2003年のユネスコ本部(パリ)での第27回世界遺産委員会、2004年の中国・蘇州市での第28回世界遺産委員会、2005年の南アフリカ・ダーバン市での第29回世界遺産委員会に続いて、リトアニアのヴィリニュス市で開催された第30回世界遺産委員会にオブザーバーとして出席できたことです。これまで,議事録等の記録で,会議の様子を知るしか方法がありませんでしたが,世界遺産の登録がどのように議論され決まるのか,その様子を実際,自分の目で見,耳で聴くことを通じて,世界遺産条約の意義を改めて認識することができました。

 また,レセプションや会議の合間に各国の関係者と知り合いになれたのも大きな収穫でした。これまでの世界遺産委員会で会った人、それに、他の国際会議で会った人、ユネスコ本部、IUCN、ICOMOSを訪問した時に会った人、メールでコミュニケーションのあった人、日本の文化庁や環境省などの世界遺産担当者、それに、マスコミ関係の人など多様です。

 二つは、新聞社、テレビ局、ラジオ局などマスコミ関係からの取材が大変多くなったことです。これまでは、電話やメールによる取材がほとんどでしたが、フェース・ツー・フェースの取材が増えてきました。フォーカル・ポイント、或は、リソース・パースンとして、今後も正確な情報把握に努めていかなければならないと考えています。


 三つは,全国で活発化している「世界遺産登録運動」の勉強会や研究会への出講です。萌芽段階のもの、暫定リスト入りをめざし具体化しつつあるものなど、熱意、熟度、合意の度合いはまちまちです。世界遺産登録をめざし地域のソフト面、或はハード面の環境整備を行っていくことは、すなわち、真の地域づくり、美しいまちづくりに通じるものであることを自ら再認識している次第です。今後は、古墳などの考古学遺跡、産業遺産、土木遺産、20世紀の都市・建築分野、瀬戸内海地域、交易・文化の道など研究領域を広げてまいります。

 
四つは,国際交流関係です。一つは、オーストラリア、2006年は日豪両国間の友好協力基本条約が締結されてから30周年となる「2006日豪交流年(YOE)事業」に参画、「世界遺産ガイド−オーストラリア編−」の出版・講演を実施しました。これを契機に、オーストラリアにおける「世界遺産ガイド−日本編−」の普及・啓蒙に協力してもらえるパートナーを発掘していきたいと考えています。二つは、中国、9月に北京大学考古文博学院を訪問、世界遺産委員会で知り合った年代測定法の権威である呉小紅副教授を訪ねました。「中国の世界遺産研究」は、私のライフワークの一つになりそうです。また、派生的に中日など多国間プロジェクト「海のシルクロード」の研究にも着手してまいります。

 五つは,生涯学習センター、公民館など公共施設、新聞社系の文化センターや懇話会、国際機関、シンクタンク、行政、商工会議所主催の「世界遺産講座」、勉強会、研究会等への出講です。茨城県の下館市、東京都の調布市、神奈川県の横須賀市、愛知県の名古屋市、京都府の宮津市、奈良県の桜井市、高取町、和歌山県の和歌山市、田辺市、かつらぎ町、兵庫県の三田市と川西市、愛媛県今治市、徳島県徳島市など慌しい一年でした。2006年は、「海外の世界遺産」と「日本の世界遺産」に力点を置き、自然遺産と文化遺産の両方を網羅する5回シリーズ、8回シリーズとプログラムの内容を構成しました。2007年は、少し学術的になりますが、大学でも通用する14回シリーズ、28回シリーズと更に内容を深化させてまいります。

 六つは,JTB(東京)など旅行会社とのコラボレーションです。2006年は「海外の世界遺産」に力点を置き、文化の多様性とテーマ性を重視しました。日程の都合等で、全てに同行することは出来ませんが、それが何故に世界遺産として登録されたのか、その物件固有の顕著な普遍的価値、歴史的・文化的な価値、また、その物件が抱える問題点や課題、脅威や危険などを明確にし、理解を深めてもらうことが私どもの役割だと考えています。

 七つは、「無形文化遺産保護条約」も発効に伴う世界無形文化遺産データ・ブック」の発刊です。このデータ・ブックの刊行にあたり、ユネスコ本部におられた愛川・フォール・紀子先生と知遇を・ご協力を得られたことは、大変励みになることでした。国や地域の文化を考える時、有形文化財と無形文化財は、文化の両輪であり統合的なアプローチは国や地域の文化の理解を深めます。

 八つは、「富士山」の世界文化遺産登録に向けて、協力要請が増えてきたことです。なかでも、静岡市内で、10月15日実施の読売新聞社主催の「富士山シンポジウム」は、歌手の加藤登紀子さん、音楽プロデューサーの酒井政利さん、静岡県の石川知事ともご一緒でき、大変思い出深いイベントになりました。山梨県側からも要請があれば、対応したいと考えています。

 九つは、当シンクタンク主催の世界遺産検定「世界遺産習熟・理解度テスト」をスタートさせたことです。概ね全国的な広がりのなかで、順調に推移しています。特定会場でのペーパー方式もリクエストがあれば、実施していきたいと思います。

 以上が当シンクタンク、そして、世界遺産総合研究所の国際的、全国的な関わりが進展していくなかでの2006年の主なトピックスです。

 私たちの仕事は,グローバルな視点に立っての地味で地道な努力と長い時間を要するものです。しかしながら,「継続は力」で,社会の為に役立ち、喜んで頂けることも多くなってきました。

 2006年も,小出版ですが,「世界遺産シリーズ」が10タイトルを発刊することが出来ました。長年の目標であった通算100タイトルを昨年クリアし、新たな出発の年になりました。世界遺産条約のオペレーショナル・ガイドラインズの改定に伴い、登録基準など基礎データの改訂に予想以上の時間がかかりましたが、「世界遺産ガイド−自然遺産編−」、「世界遺産ガイド−文化遺産編−」、「世界遺産ガイド−複合遺産編−」、「世界遺産ガイド−危機遺産編−」の基本文献の2006改訂版を年内に発刊できました。これまでに、ご協力頂きました関係各位、全国の読者の皆様に感謝の意を表したいと思います。

 2007年は,果たしてどんな年になるのでしょうか。戦争のない平和な地球社会にしていかなければなりません。

 また、2007年も時間の許す限り、時流を読み、世の中に役立つシンクタンクの舵取りを世界遺産総合研究所を中心に展開していきたいと思います。長期的には30年,中期的には10年を視野におき,これまでに蓄積してきた知識と経験の集大成と活用、応用発展がテーマになります。引き続きご支援をお願い致します。



 古田 陽久




 



















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