世界遺産とODA,すなわち,世界遺産の保護や修復について,日本の政府開発援助(official
DevelopmentAssistance=ODA)はどの様に実施されているのか調べてみましょう。ODA予算は,年々,削減傾向にありますが,2001年度予算総額は1兆8196億円で,二国間援助が全体の過半を占めています。国の借金が607兆円(うち普通国債392兆円)と国家財政が苦しいのに対外援助なんかする余裕はないはずとか,依然として国益重視の援助形態といった諸批判はあるものの国際社会における日本の役割の一つとして途上国援助の必要性は否めません。
とはいえ,円借款(クレジット)があるとはいえ1兆8196億円という金額は実に大きな金額です。
ご承知の様にユネスコ本部の世界遺産基金の年間予算額が435万米ドル(約5億円)程度ですから,日本のODAのあり方も,その内容や質を向上させていかないとお金を出している割には国際社会では評価されていないことになるのではないでしょうか。
世界遺産基金については,加盟国の分担金と各国政府の自主的拠出金,団体,・機関(法人)や個人からの寄付金が原資になっていますが,それにしても,日本のODAの規模からすると,172か国の世界遺産条約締約国等が拠出する世界遺産基金の年間予算額の金額は少なすぎる気が致します。
2002年6月の第26回世界遺産委員会で,「ブダペスト宣言」が採択され,ユネスコとしては。世界遺産基金の充実と共に世界銀行や日本の国際協力銀行等との連携を強化していく考え方を示しています。
日本のODA等ともいろいろ関わりが深くなっていく訳ですが,開発途上国や後進国の上下水道,道路,港湾,空港などハード面の基盤整備に協力していくことも大切ですが,文化財保護や自然保護などソフト面での支援を図っていく方が人的関係も深まり,長期的に見るとODAの実効性は高いのではないでしょうか。
また,話は異なりますが,通貨の強弱で,貨幣価値が大きく異なるというのも同じ地球に住む市民として,不思議な気が致します。世界同一通貨にすれば,この様な問題は解決しますが,国家という枠組みもグローバルに物事を考えていくのであれば,不用になる様な気が致します。
外務省がODAについての特集頁を設けているので,ODAの一般知識について勉強してみましょう。
外務省 ODAホームページ 政府開発援助コーナー
また,ODA民間モニターの制度もある様なので,応募してみるのも良いかもしれません。
平成14年度ODA民間モニターの募集
今年度の派遣対象国としては,
インドネシア
タンザニア
ガーナ
セネガル
ニカラグア
スリ・ランカ
タイ
ラオス
カンボジア
中 国
の名前があがっています。
外務省のホームページのほか下記のホームページも参考になるかもしれません。
国際協力銀行(JBIC)
日本国際協力センター(JICE)
国際協力事業団(JICA)
国際協力推進協会(APIC)
また,参考までに,ラオスの世界遺産とユネスコの世界遺産基金の拠出状況について例示しておきます。
Lao People's Democratic Republic
Date of Ratification of the Convention: 20 March 1987
Properties Inscribed on the World Heritage
List:
Cultural Properties
1995 Town of Luang Prabang
2001 Vat Phou and Associated Ancient Settlements
within the Champasak Cultural Landscape
International Assistance(World Heritage Fund through 1997 in US$)
Preparatory Assistance
C, Nomination sites. 1991, 6.540
C, Mission nomination Luang Prabang.
1994,
15.000
C, Manuel conservation Luang Prabang,
7.342.
1996
Training Assistance
C, Luang Prabang, programme formation,
25.000.
1997
Technical Cooperation
C, Luang Prabang, conservation de maisons
traditionnelles. 1996, 39.900
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