世界遺産ガイド−文化の道編−








世界遺産ガイド−文化の道編−  
著者 古田陽久、古田真美
企画・編集 世界遺産総合研究所
発行 シンクタンクせとうち総合研究機構
定価 本体 2500円(定価2700円)
ISBN ISBN978-4-86200-207-5  C1526 Y2500E
発行 2016125
判型 A5
頁数 128ページ

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【本書の特色】世界遺産に登録されている「文化の道」を特集



文化の道(Cultural Routes)とは、人間が往来し、人間が交流した長い人類の歴史のなかでの信仰、交易、運河、水路、鉄道などの道である。文化の道は、その途上に残った遺跡、建造物群、モニュメントなどと共に、果たした役割は大きい。本書では、巡礼道、シルクロード、運河、水路、鉄道など、世界遺産に登録されている「文化の道」を特集する。

 


【 目  次 】


 

 ■ユネスコ世界遺産の概要


 

   ユネスコとは 6 


   世界遺産とは 6 


   ユネスコ世界遺産が準拠する国際条約 6 


   世界遺産条約の成立の経緯とその後の展開 7 


   世界遺産条約の理念と目的 8 


   世界遺産条約の主要規定 8 


   世界遺産条約の事務局と役割 8                             


   世界遺産条約の締約国(192の国と地域)と世界遺産の数
     (165の国と地域1052物件) 9-15



   世界遺産条約締約国総会の開催歴 15


   世界遺産委員会 15 


   世界遺産委員会委員国 16 


   世界遺産委員会の開催歴 17                             


   世界遺産の種類 18 


   ユネスコ世界遺産の登録要件 20 


   ユネスコ世界遺産の登録基準 20 


   ユネスコ世界遺産に登録されるまでの手順 21


   世界遺産暫定リスト 21


   危機にさらされている世界遺産(★【危機遺産】 55物件) 22


   危機にさらされている世界遺産リストへの登録基準 22 


   監視強化メカニズム 23


   世界遺産リストからの登録抹消 23


   世界遺産基金 24 


   ユネスコ文化遺産保存日本信託基金 25   


   日本の世界遺産条約の締結とその後の世界遺産登録 26 


   日本のユネスコ世界遺産 28


   日本の世界遺産暫定リスト記載物件(今後の世界遺産候補地) 29


   ユネスコ世界遺産の今後の課題 30


   ユネスコ世界遺産を通じての総合学習 30


   今後の世界遺産委員会等の開催スケジュール 31


   世界遺産条約の将来 31


 


  図表で見るユネスコ世界遺産


   世界遺産分布図 32-33


   グラフで見るユネスコ世界遺産 34-40


   世界遺産登録のフローチャート 41


   複数国にまたがる物件の世界遺産登録と
      「顕著な普遍的価値」の証明について        42-43



   世界遺産を取り巻く脅威や危険 44


   確認危険と潜在危険 45


   危機にさらされている世界遺産 46


   危機にさらされている世界遺産分布図 48-49


   危機遺産の登録、解除、抹消の推移表 50-51




 ■文化の道 概要 54-57




 ■信仰の道 


 

  ●サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道:
   フランス人の道とスペイン北部の巡礼路群(スペイン) 60



  ●サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道(フランス側)(フランス) 62


  ●紀伊山地の霊場と参詣道(日本) 64


  ●富士山-信仰の対象と芸術の源泉(日本) 66


 

 ■交易の道 


  ●フランキンセンスの地(オマーン) 70


  ●ウマワカの渓谷(アルゼンチン) 72


  ●香料の道-ネゲヴの砂漠都市群(イスラエル) 74


  ●石見銀山遺跡とその文化的景観(日本) 76


  ●カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ(メキシコ) 78


  ●水銀の遺産、アルマデン鉱山とイドリャ鉱山(スペイン/スロヴェニア) 80


  ●シルクロード:長安・天山回廊の道路網(中国/カザフスタン/キルギス) 82


  ●カパック・ニャン、アンデス山脈の道路網


   (ペルー/ボリヴィア/エクアドル/チリ/アルゼンチン/コロンビア) 84


 


 ■運河、水路 


 


  ●ポン・デュ・ガール(ローマ水道)(フランス) 88


  ●ミディ運河(フランス) 90


  ●ルヴィエールとルルー(エノー州)にあるサントル運河の4つの閘門と周辺環境
       (ベルギー) 92



  ●リドー運河(カナダ) 94


  ●ポントカサステ水路橋と運河(英国) 96


  ●アムステルダムのシンゲル運河の内側にある
    17
世紀の環状運河地域(オランダ) 98



  ●大運河(中国) 100


      コラム 世界遺産と持続可能な観光の発展−日本の世界遺産地の事例など 102


 


  ●テンブレケ神父の水道橋の水利システム(メキシコ) 106




 ■鉄道 




  ●センメリング鉄道(オーストリア) 110


  ●インドの山岳鉄道群(インド) 112


  ●レーティッシュ鉄道アルブラ線とベルニナ線の景観群
      (スイス/イタリア) 114





 ■今後のポテンシャル・サイト




  ●シルクロード:ペンジケント-サマルカンド-ポイケント回廊


        (タジキスタン/ウズベキスタン) 118


  ●バイキングの道
    (アイスランド/デンマーク/ドイツ/ラトヴィア/ノルウェー) 120



  ●朝鮮通信使(韓国/日本) 122 


  ●四国八十八箇所遍路道(日本) 124 







  ■文化の道 概要
 

 「道」、或は、文化的街道の概念は、19941124日〜25日、スペインの首都マドリッドで開催された「文化遺産の一部分としての道」に関する専門家会合で議論された。

  200810月、カナダのケベックで開催されたイコモスの第16回総会と学術シンポジウムで、「文化の道に関するイコモス憲章」(The ICOMOS Charter on Cultural Routes)が採択され、文化財のカテゴリーの一つとしての「文化の道」(Cultural Routes)の基本原則と方法論が明確に定義された。そして、翌2009年にスペインで開催された第33回世界遺産委員会セビリア会議で「文化の道」の概念が採択された。

  世界遺産において「道」に関する文化遺産の登録の推進と、道を介して行われた文化の循環の研究を行うことで、文化摩擦を減らすように啓蒙することを目的としている。

  世界遺産委員会が「文化の道」を採択したことにより、欧州評議会(Council of Europe)は、「欧州文化の道」(European Cultural Route)を制定した。

  文化の道とは、人間が往来し、人間が交流した長い人類の歴史のなかでの信仰、交易、運河、水路、鉄道などの道である。文化の道は、その途上に残った遺跡、建造物群、モニュメントなどと共に、果たした役割は大きい。

  文化の道は、有形の不動産としての道のみならず、道が与えた無形の影響についても顕彰する。

  世界遺産委員会は、ある特種な文化遺産及び自然遺産を認定し、定義してきており、世界遺産リストに記載する際の資産の評価を助ける特定の指針を採用、追加の可能性はあるものの、これまで、「文化的景観」(Cultural Landscapes)、「歴史的町並みと街区」(Historic Towns and Town Centres)、「運河に係る遺産」(Heritage Canals)、「遺産としての道」(Heritage Route)の4つの分野を扱っている。

 これらのうち、「遺産としての道」は、

〇「遺産としての道」の概念は、豊かで創造力に富むものであり、相互理解、歴史への
 複合的なアプローチ、平和の文化がすべて作用する特別な枠組みを提供する。


〇「遺産としての道」は、有形の資産により構成されており、国や地域を越えた交流や
 多面的な対話をもたらすことから文化的に重要であり、道に沿って展開される空間的、 時間的な移動の相互作用を例証している。


 「遺産としての道」の世界遺産リストへの登録は、

〇「遺産としての道」の世界遺産リストへの登録においては、以下に示す観点が検討
 されるべきである。


(@)顕著な普遍的価値を保持している。

(A)「遺産としての道」の概念は、

〇移動の活動力とやり取りの観念が、時間的にも空間的にも継続していることに基づき、

〇道を構成している単なる集合を超越する価値を有し、その道が獲得している文化的
 重要性を通じて、総体を包括し、


〇国家間若しくは地域間のやり取りと対話に焦点を当て、

〇発展することで宗教的、商業的、行政的その他の初期の目的に追加された異なる諸側面 によって、多次元的である。

(B)「遺産としての道」は、「文化的景観」の特殊で動的なタイプとして認識されうる   ものである。

(C)「遺産としての道」の特定は、道そのものの重要性を証明する強固さと物的諸要素   の集積による。

(D)真正性の状態に関する判断はその道の地面の状態と「遺産としての道」を構成する   その他の諸要素に適用されるべきである。その場合、道の区間のほか、今日に
   おいてどれほど利用されているかと同時に、その影響下にある人々の発展に対する   妥当な願いに留意することとする。


  尚、これらの観点においては、道を取り巻く自然環境の枠組み及び無形的及び象徴的な次元をも留意することとする。

  一方、「運河に係る遺産」は、ひとつの運河は、人間が巧みに計画したひとつの水路である。本質的にあるいはこの種の文化遺産を代表する例外的な事例として、歴史的又は技術的観点から「顕著な普遍的価値」を持ち得る。このような意味での運河は、記念碑的な作品、線状に延びる「文化的景観」のうちの特例、あるいは複合的な「文化的景観」の統合された構成要素として理解される。

  「運河に係る遺産」の世界遺産リストへの登録は、「運河に係る遺産」の重要性については、「技術」、「経済」、「社会」及び「景観」の観点に基づき検討されうる。

 本書では、巡礼道、シルクロード、運河、水路、鉄道など、世界遺産に登録されている「文化の道」を特集する。

 

 @信仰の道

  ●サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道:フランス人の道とスペイン北部の   巡礼路群(スペイン)1985年/2015年登録 

  ●サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道(フランス側)(フランス) 
     1998
年登録

  ●紀伊山地の霊場と参詣道(日本) 2004年登録

  ●富士山-信仰の対象と芸術の源泉(日本) 2013年登録

 

 A交易の道

  ●フランキンセンスの地(オマーン) 2000年登録

  ●ウマワカの渓谷(アルゼンチン) 2003年登録

  ●香料の道 - ネゲヴの砂漠都市群(イスラエル) 2005年登録

  ●石見銀山遺跡とその文化的景観(日本) 2007年/2010年登録

  ●カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ(メキシコ) 2010年登録

  ●水銀の遺産、アルマデン鉱山とイドリャ鉱山(スペイン/スロヴェニア) 
     2012
年登録

  ●シルクロード:長安・天山回廊の道路網(中国/カザフスタン/キルギス)
   
2014年登録

  ●カパック・ニャン、アンデス山脈の道路網

  (ペルー/ボリヴィア/エクアドル/チリ/アルゼンチン/コロンビア) 
     2014
年登録

 

 B運河、水路

  ●ポン・デュ・ガール(ローマ水道)(フランス) 1985年/2007年登録

  ●ミディ運河(フランス) 1996年登録

  ●ルヴィエールとルルー(エノー州)にあるサントル運河の4つの閘門と周辺環境
   (ベルギー) 
1998年登録

  ●リドー運河(カナダ) 2007年登録

  ●ポントカサステ水路橋と運河(英国) 2009年登録

  ●アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域(オランダ)      2010年登録

  ●大運河(中国) 2014年登録

  ●テンブレケ神父の水道橋の水利システム(メキシコ) 2015年登録

 

 C鉄道 

  ●センメリング鉄道(オーストリア) 1998年登録

  ●インドの山岳鉄道群(インド) 1999年/2005年/2008年登録

  ●レーティッシュ鉄道アルブラ線とベルニナ線の景観群(スイス/イタリア) 
   
2008年登録

 

などが該当する。 

 

 「文化の道」で、今後、世界遺産や世界記憶遺産への登録が期待されるのは、

  ●シルクロード:ペンジケント-サマルカンド、ポイケント回廊(タジキスタン/
   ウズベキスタン)


  ●アウグストゥフ運河(ベラルーシ/ポーランド)

  ●フランシスコ修道会の伝道の道(グアテマラ)

  ●パラチーの金の道と景観(ブラジル)

  ●グレート・ウェスタン鉄道(英国)

  ●セルダーニ鉄道(フランス)

  ●シルクロード:海の道(中国/日本)

  ●朝鮮通信使(韓国/日本)

  ●四国八十八箇所遍路道(日本)

 

などがある。























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