「奄美・琉球諸島」など世界自然遺産の暫定リスト入りをめざせ!






 2011年の6月に、パリのユネスコ本部で、第35回世界遺産委員会が開催され、日本の「小笠原諸島」、「平泉」をはじめ、グレート・リフト・バレーの自然景観、ナクル湖などの湖群の生態系、コフラミンゴなどの生物多様性が評価されたケニアの「大地溝帯の湖水システム」(自然遺産)、中国・浙江省の省都杭州市内にあり、古くは白居易や蘇東坡(蘇軾)などの詩人を魅了した「杭州西湖の文化的景観」(文化遺産)など25か国の25件が、新たに「世界遺産リスト」入りし、世界遺産の数は、自然遺産が183件、文化遺産が725件、自然遺産と文化遺産の両方の登録基準を満たす複合遺産が28件、合計では世界の153の国と地域に分布する936件になった。  

 日本は、1992 年に世界遺産条約を締約、125番目の締約国となり、これまでに自然遺産が4件、文化遺産が12件の合計16件が「世界遺産リスト」に登録されており、その数は世界第14位である。

 今後、世界遺産に登録する考えのある暫定リストには、先般、日本政府が登録推薦を決定し2013年の登録をめざしている信仰と芸術の源泉である「富士山」(山梨県・静岡県)や、武家政権の本拠地である「古都鎌倉」(神奈川県)をはじめ12件が登載されているが、それらはすべて文化遺産関係で、自然遺産関係はなく、新たな登載物件が待望されている。

 2003年に環境省と林野庁による「世界自然遺産候補地に関する検討会」が開催され、今後の日本の世界自然遺産候補地の詳細検討対象地域として、トカラ列島以南の奄美、石垣島、西表島などからなる「琉球諸島」(鹿児島県・沖縄県)、日本の北部特有の地形・地質・動植物相を有する「利尻・礼文・サロベツ原野」、北海道の最高峰旭岳と日本では最大規模のエゾマツやトドマツなどの森林生態系を擁する「大雪山と日高山脈を統合した地域」(北海道)、世界的に見てもユニークな多雪環境である「飯豊・朝日連峰」(山形県・新潟県・福島県)、日本最大級の原生的な「九州中央山地周辺の照葉樹林」(宮崎県)などが選定された。

 これらの物件を中心に、登録基準、真正性、完全性、他の類似物件との比較、保存管理措置など、世界的な「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value 略称OUV)を証明する為の登録要件を充足させて、まずは、世界遺産暫定リストへの登載準備を進めるべきである。

 ユネスコの規定の変更で、毎年登録推薦できる上限数も2件と限りがあるが、文化遺産関係に偏重することなく、自然遺産関係、それに自然要素も無視できない文化的景観などの登録推薦を戦略的に進めていく必要がある。

 なかでも、これまでに登録されている4つの世界自然遺産、すなわち、ブナ原生林の生態系が評価された「白神山地」、九州最高峰の宮之浦岳などの自然景観と屋久杉などの生態系を誇る「屋久島」、海と陸の生態系の相互作用を示す複合生態系の顕著な見本である「知床」、海洋島生態系における進化の過程を代表する「小笠原諸島」とは異なるカテゴリーや登録基準を満たすものの登録を優先的に進めていくことが大切である。

 2012年は、世界遺産条約が採択されてから40年になる記念すべき年であり、11月には、ユネスコの主催による世界遺産条約40周年記念行事が日本の京都市でも開催される。

 今後、ユネスコの世界遺産条約は、どの様に発展していくべきなのか、地域社会は、世界遺産とどの様に関わり、どんな役割を果たしていくべきなのかなど持続可能な発展に向けての方向性が問われている。

 こうした機会をとらえて、日本の自然と文化の多様性を、国内外の関係者にアピールしていくことが必要ではなかろうか。















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