ケルン大聖堂を取り巻く都市景観問題










 ドイツのケルン大聖堂が第28回世界遺産委員会蘇州会議(2004年6月28日〜7月7日)で、ユネスコの「危機にさらされている世界遺産リスト」(以下 危機リスト)に登録されました。現在、ユネスコの危機リストには、35物件が登録されていますが、ほとんどが開発途上国の世界遺産であり、先進国の世界遺産が危機リストに登録された事例はきわめて稀です。

 ケルン大聖堂(高さ157m、奥行き144m、幅88m)は、1996年に世界遺産リストに登録されましたが、近年、ケルン大聖堂の近くを流れるライン川の河岸の幾つかの超高層ビル(摩天楼)の建設が問題になっています。今回の危機リストへの登録は、世界遺産登録申請時のケルン大聖堂の周辺の都市景観の完全性(Integrity)が損なわれる為、ユネスコとICOMOS (国際記念物遺跡会議)が警鐘を鳴らす意味での登録ともいえます。

 ケルン大聖堂を取り巻く都市景観問題といえば、以前訪問した時、写真を撮る時に気付いたのですが、隣接する奇抜なデザインのローマ・ゲルマン博物館の建物も大変、気になりました。

 都市景観問題は、わが国においても各地で問題になっていますが、ケルン大聖堂を取り巻く都市景観問題は、都市開発と文化財保存の両立のむつかしさなどを教えてくれる生きた教材とも言えます。ドイツ政府、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ケルン市などの関係自治体がこの問題を今後どのように解決していくのか注目したいと思います。

 また、私たちがこの問題を解決していく為に協力出来ることについても考えていきたいと思います。


                                                               古田 陽久






参考文献
世界遺産データ・ブック−2005年版−
世界遺産ガイド−特集 第28回世界遺産委員会蘇州会議−
世界遺産ガイド−都市・建築編−
世界遺産ガイド−危機遺産編−






ケルン市に関する情報
ドイツ大使館
ドイツ観光局
ケルン市観光局
ケルン市役所
京都市(姉妹都市)
東京大司教区(ケルン大司教区)
第20回世界青年の日ケルン大会2005
ケルン日本文化会館








その他の情報
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