2023年11月2日・3日

中国 湖北民族大学 

民族・社会学学部と外国語学部での講演

 




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1日、今日から中国です。新幹線で博多まで移動し、上海、武漢、恩施です。福岡空港から上海浦東空港まで中国東方航空で2時間15分、上海から武漢空港まで、2時間、武漢から恩施(Enshi)空港まで中国南方航空で、1時間15分、通算5時間30分のフライト時間ですが、セキュリティ・チェックなどが万全なので、ぼやぼやしていると乗り遅れてしまいます。上海での入国手続き、国内線への乗り継ぎの為の搭乗ゲートへの移動、相当の時間と距離を要します。しばらくぶりの上海浦東空港、大きな空港であることを実感しました。

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35分、恩施空港に到着、以前の香港の空港や福岡空港と同様、町なかにあり、ネオンの中を降りていきます。空港では、今回最初からお世話いただいている湖北民族大学の白松強先生ご夫妻が出迎えてくださいました。現在47歳で、九州大学大学院にも留学されていたので、日本語は堪能です。当時から、福岡県立図書館や福岡市立図書館等で、私の著書を読んでくれていた様です。民俗学、文化人類学、無形文化遺産学がご専門です。宿泊ホテルも普段泊まることができない様な5つ星の立派なホテルをご用意していただきました。

 今回は湖北省教育庁からの招聘によるものなので、至れり尽くせりです。招聘の目的は教師と学生の国際的視野を広げ、国際交流と協力を拡大すること、それに、世界的な科学者とのつながりを強化し、対外開放と教育、科学研究のレベルを高めることにある様なので、期待を裏切らない様に対応したいと考えています。なぜ、私に白羽の矢がということになると270冊の著書と数々の国内外でも講演実績が裏付けになっている様です。嬉しいことです。

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2日、午前中は白先生が恩施(エンシ Enshi)トゥチャ族ミャオ族自治州総合文化センターを案内してくださいました。昼食は、学長、学部長ほか民族学・社会学部の先生たちが接待してくださいました。午後から第1回目の講演でした。民族学・社会学学部の教職員の約180人が対象で、通訳はお世話いただいている白先生が担当してくださいました。少し小難しいのですが「世界遺産などユネスコ遺産について-有形と無形の遺産の重層的な保護・保全の大切さ-」、皆さん、聴講のマナーも良く、熱心に聴いてくれました。花束をいただいたのも、久しぶりです。大変嬉しく思いました。

 2回目は113日に、外国語学部の日本語専攻の学生と教職員の方々を対象に同じテーマで講演します。ちなみに、湖北民族大学の学生数は本科生が18,431人、修士課程1,300人、学部構成は、文学・メディア学、理学、情報工学、化学・環境工学、医学、経済・管理学、生物科学・技術学、外国語、体育学、アートデザイン学、音楽舞踊学、法学、マルクス主義学、教育学、民俗学・社会学、林学園芸学の19学部がある総合大学です。

 113日、午前10時から外国語学部日本語学科での講演です。演題は昨日と同じ「世界遺産などユネスコ遺産について-有形と無形の遺産の重層的な保護・保全の大切さ-」。通訳は昨日と同じ白先生に補完をお願いしましたが、基本的には、日本語で話し日本語でのコミュニケーションを心がけました。日本語を習得し何に活かすかが課題だと感じました。日本人の先生もお二人おられます。

 午後からは、恩施土司城Enshi Tusi Castle)をご案内いただき、民族芸能を楽しみました。恩施土司城は、トゥチャ(土家)族の土司王城。トゥチャ族では王様が「土司」と呼ばれており、王様がいた町は「土司城」または「土司王城」と呼ばれていました。ここは、「中華土家第一城」と称賛され、「中国観光文化模範地」として認定されています。土司城には、墨沖楼、九進堂、鍾楼などは巴楚時代の宮廷建物の神韻(神様が作ったような非常にすぐれた建物の意)があり、トゥチャ(土家)族の民俗風景に溢れています。日本人観光客にも好まれる観光スポットの一つであると思いました。夜は、今回お世話いただいた白先生ご夫妻に恩施料理店でご接待いただき、白先生ご所有の都会的な高層マンションに民泊、おもてなしいただきました。至れり尽くせりです。

 114日は、恩施市のシンボルでもある恩施大峡谷を白先生にご案内いただきました。恩施市内から4050㎞、中国のグランドキャニオンとも称されている観光スポットです。恩施大峡谷は、断崖絶壁、幾千もの滝、深い谷、そびえ立つ奇峰群、また、様々なカルスト地形が見られることでも知られています。ケーブルカー、ロープウェイ、エスカレーターが駆使されており、また、飲食店や土産店も多く、見方によっては、中国国家観光局が安全性、清潔さ、衛生面、交通面の便利さなどの観点から定める最高級の国家AAAAA級旅遊景区に指定されてはいるものの、観光開発が進みすぎている感もありますが、それを凌駕する壮大・壮観な地形や地質は世界ジオ級です。中国の世界遺産暫定リストに加えても良い様に思います。夜は白先生の奥様(事業家)の手料理でのおもてなしを受けました。大変微笑ましい努力家のご夫婦です。

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5日、午後の便で恩施を旅立ち武漢に向かいました。大きな空港です。翌朝の便が早いので、天空大酒店に前泊しました。良いホテルです。

 116日、武漢空港から上海浦東空港経由で福岡空港へ、広島へは新幹線で、無事、帰着しました。

 
今回の旅を通じて感じたことは、

コロナ関連でマスクをしている人は一人もいないこと。中国の徹底した感染対策が功を奏したことが わかります。

②中国に入国するには、15日以内の滞在だといえどもヴィザが必要で、日本からの観光障壁になって いることです。

日中観光が回復したら、湖北省への観光を促進したいこと、また、ご恩返しに、恩施での観光・滞在を 提案してみたい、また、日本の県や都市との共通点など姉妹都市交流の可能性も探ってみたいと思い ます。

できれば、白松強先生に、私の「世界遺産学」を継承してもらいたいと思います。

トゥチャ(土家)族やミャオ族の失われつつある民俗芸能をユネスコの世界無形文化遺産に緊急登録 することの可能性を湖北省文化部と共に検討を進めてもらいたいと思います。

⑥私自身のチャレンジとしては、「世界遺産ガイドー中国編ー2010年版」以降、更新していない中国の世界遺産について、新たに、世界無形文化遺産や世界の記憶の視点も加えて、2024年に 「ユネスコ遺産ガイドー中国編ー総合版」として纏められればと思います。







 
 
 
 
 
 
 








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