|
ユネスコの第8回無形文化遺産委員会は、「緊急保護リスト」に4件、 「代表リスト」に25件<含む登録範囲の拡大1件 初出国:エチオピア、ニジェール、マケドニア・旧ユーゴスラビア、モルドヴァ、ウクライナ> を新登録することを決定。 ↓ 「緊急保護リスト」 35件 「代表リスト」 281件 ↓ 世界無形文化遺産の数 316件 ベスト・プラクティス 新選定 1件 2014年11月の第9回無形文化遺産委員会の議長国は、ペルー、開催地は、パリ |
2011年のインドネシアの第6回無形文化遺産委員会バリ会議から2年ぶりに無形文化遺産委員会に出席することにした。今年2013年のユネスコの第8回無形文化遺産委員会は、12月2日(月)から7日(土)まで、アゼルバイジャンの首都バクーのJWマリオット・アブシェロンで開催された。 文化プログラムは、12月1日(日)の夕べと12月8日(日)に予定され、恒例のNGOフォーラムは、委員会の開会の前日の12月1日(日)の午前11時から午後5時まで開催されたが、早めに日本を発ち、トルコのインスタンブール経由で、バクー入りすることにした。 今年の第8回無形文化遺産委員会の委員国、ビューロー(幹事国)、主な議案、「緊急保護リスト」への記載候補、「代表リスト」への記載候補、「ベスト・プラクティス」の候補については、下記の通りであった。 いわゆる「世界遺産」の登録審議とは異なり、10月に事前審査を担う補助機関の勧告の評価が、これまでの委員会では、基本的には追認されているので、若干、緊張感には欠け、日本の今年の候補「和食 日本人の伝統的な食文化」も、補助機関のプレゼンから約3~5分、審議の間もなく、あっけない登録決議であった。 古田陽久 第8回無形文化遺産委員会の委員国(24か国) アルバニア、◎アゼルバイジャン、ベルギー、○ブラジル、○ブルキナファソ、□中国、チェコ、○エジプト、○ギリシャ、グレナダ、インドネシア、日本、キルギス、ラトヴィア、マダガスカル、モロッコ、ナミビア、ニカラグア、ナイジェリア、ペルー、スペイン、 チュニジア、ウガンダ、ウルグアイの24か国である。 ビューロー(幹事国) ◎議長国 アゼルバイジャン 議長 アブールファス・カラーエフ氏(H.E.Mr.Abulfas Garayev) ○副議長国 ギリシャ、ブラジル、中国、ブルキナファソ、エジプト □ラポルチュール(報告担当国) 中国 報告担当者: チャン・リン氏(Ms.Ling Zhang) 第8回無形文化遺産委員会に締約国により提出された書類 ○10件の定期報告と緊急保護リストに登録されている無形文化遺産1件の報告書 ○緊急保護リストへの登録推薦書類12件 ○ベスト保護プラクティスの登録に関する2件 ○US$25.000以上の財政援助要請1件 ○代表リストへの登録推薦書類31 件 ○19のNGOによって提出された認定の要請 <緊急保護リスト> 12件 → 登録勧告3件/不登録勧告9件 → 登録決議4件 ↑ 補助機関の審査の結果 アゼルバイジャン Chovqan, a traditional Karabakh horse-riding game → I → I グアテマラ Paach ceremony → I → I モンゴル Mongolian calligraphy → I → I ウガンダ Empaako tradition of the Batooro, Banyoro, Batuku, Batagwenda and Banyabindi of western Uganda → N → I <代表リスト候補> 31件 → 登録勧告23件/情報照会勧告1件/不登録勧告7件 → 登録決議25件 アルジェリア Annual pilgrimage to the mausoleum of Sidi ‘Abd el-Qader Ben Mohammed (Sidi Cheikh) → I → I アルジェリア・マリ・ニジェール Practices and knowledge linked to the Imzad of the Tuareg communities of Algeria, Mali and Niger → I → I バングラデシュ Traditional art of Jamdani weaving → I → I ベルギー Shrimp fishing on horseback in Oostduinkerke → I → I ブラジル Círio de Nazaré (The Taper of Our Lady of Nazareth) in the city of Belém, Pará→ N → I 中国 Chinese Zhusuan, knowledge and practices of mathematical calculation through the abacus → I → I キプロス・クロアチア・スペイン・ギリシャ・イタリア・モロッコ・ポルトガル Mediterranean diet 2010年に登録されたスペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコの4か国の共同登録に加えて、キプロス、クロアチア、ポルトガルの3か国が加わり、7か国の共同登録をめざす。 → I → I エチオピア Commemoration feast of the finding of the True Holy Cross of Christ → I → I フランス Limousin septennial ostensions → I → グルジア Ancient Georgian traditional Qvevri wine-making method → I → I インド Sankirtana, ritual singing, drumming and dancing of Manipur → I → I イタリア Celebrations of big shoulder-borne processional structures → I → I 日本 Washoku, traditional dietary cultures of the Japanese, notably for the celebration of New Year → I → I キルギス Kyrgyz epic trilogy: Manas, Semetey, Seytek → I → I モンゴル Traditional craftsmanship of the Mongol Ger and its associated customs → I → I ペルー Knowledge, skills and rituals related to the annual renewal of the Q’eswachaka bridge→ I → I 韓国 Kimjang, making and sharing kimchi → I → I ルーマニア/モルドヴァ Men’s group Colindat, Christmas-time ritual → I → I セネガル Xooy, a divination ceremony among the Serer of Senegal → I → I スロヴァキア Music of Terchová → I → I マケドニア旧ユーゴスラヴィア Feast of the Holy Forty Martyrs in Štip → I → I トルコ Turkish coffee culture and tradition → I → I ウクライナ Petrykivka decorative painting as a phenomenon of the Ukrainian ornamental folk art→ N → I ヴェネズエラ La Parranda de San Pedro de Guarenas y Guatire → I → I ヴィエトナム Art of Đờn ca tài tử music and song in southern Viet Nam → I → I <ベスト・プラクティス> 2件 → 選定勧告1件 → 選定決議1件 スペイン Methodology for inventorying intangible cultural heritage in biosphere reserves: the experience of Montseny → I → I ※補助機関の勧告区分 ●「登録」(Inscribe)勧告 I ●「情報照会」(Refer)勧告 R ●「不登録」(Decide not to inscribe)勧告 N 尚、今回の第8回無形文化遺産委員会バクー会議での審議の結果を反映した「世界無形文化遺産データ・ブック-2014年版」は、2014年3月に発刊の予定。 |
<参考> アゼルバイジャンの概要 人口 約839万人 首都 バクー(約182万人) 面積 8万6600平方Km 言語 アルゼバルジャン語、ロシア語、アルメニア語 宗教 イスラム教、ロシア正教、アルメニア教会 通貨単位 マナト 特産品 手工芸品、ワイン 平均寿命 72歳 国民一人あたりの国内総生産額 3700米ドル 識字率 97% 日本との時差 5時間 アゼルバイジャンの世界遺産(2物件) 世界遺産条約締約 1993年12月 ● シルヴァンシャーの宮殿と乙女の塔がある城塞都市バクー (Walled City of Baku with the Shirvanshah's Palace and Maiden Tower) 文化遺産(登録基準(iv)) 2000年 ● コブスタンの岩石画の文化的景観 (Gobustan Rock Art Cultural Landscape ) 文化遺産(登録基準(iii)) 2007年 世界遺産暫定リスト記載物件(10物件) ○Surakhany, Atashgyakh (Fire - worshippers, temple - museum at Surakhany) (1998年) ○The mausoleum of Nakhichevan (1998年) ○Hyrkan State Reservation (1998年) ○ "Binegadi" 4th Period Fauna and Flora Deposit (#) (1998) ○"Lok-Batan" Mud Cone (1998年) ○"Baku Stage" Mountain (1998年) ○The Caspian Shore Defensive Constructions (2001年) ○Susha historical and architectural reserve (2001年) ○Ordubad historical and architectural reserve (2001年) ○Sheki, the Khan's Palace (2001年) アゼルバイジャンの世界無形文化遺産(代表リスト 5物件) 無形文化遺産条約締約 2007年1月 ●アゼルバイジャンのムガーム(Azerbaijani Mugham) 2008年 ← 2003年第2回傑作宣言言 ●アゼルバイジャンのアシュクの芸術 (The art of Azerbaijiani Ashiqs) 2009年 ●ノヴルーズ(Novruz) アゼルバイジャン/インド/イラン/キルギス/ ウズベキスタン/パキスタン/トルコ 2009年 ●アゼルバイジャンの絨毯(The Azerbaijani carpet) 2010年 ●タール、首長弦楽器の工芸と演奏の芸術 (Craftsmanship and performance art of the Tar, a long-necked string musical instrument)2012年 アゼルバイジャンの世界記憶遺産 (1件) ●中世の医療薬学に関する文書(Medieval manuscripts on medicine and pharmacy) 2005年登録 <所蔵機関>アゼルバイジャン国立アカデミー写本研究所(バクー) |
<参考文献> |
●世界無形文化遺産データ・ブック-2013年版-(2013年3月) |
●世界無形文化遺産データ・ブック-2012年版-(2012年3月) |
●世界無形文化遺産データ・ブック-2011年版-(2010年12月) |
●世界無形文化遺産データ・ブック-2010年版-(2009年10月) |
●世界無形文化遺産データ・ブック-2006年版-(2006年7月) |
●世界無形文化遺産ガイド-無形文化遺産保護条約編-(2004年6月) |
●世界無形文化遺産ガイド-人類の口承及び無形遺産の傑作編-(2004年5月) |
●世界遺産ガイド -人類の口承及び無形遺産編-(2002年4月) |
●誇れる郷土ガイドー口承・無形遺産編ー(2001年6月) |